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雨宮寛二「新・IT革命」

アマゾンの配送は、どこまで短くなるのか?ついに「分」単位へ 一般人による配送も

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アマゾンのHPより
 米アマゾンのロジスティクス(物流)は、どこまで進化するのだろう――。

 アマゾンは5月21日、米ニューヨークでついに1時間配送サービス「プライム・ナウ」を開始した。同社のプライム会員(年間会費99ドル)を対象として、送料7.99ドルを払えば日用品などを1時間以内に届けてくれるという、超速の配送サービスである。

 これまでアマゾンは差別化戦略の一環として、配送時間の短縮化に尽力してきた。創業当初、注文から配送までに要する時間は1週間以上かかっていたが、倉庫内におけるフリーロケーションシステム(バーコードやコンピュータの活用により、商品の種類と保管場所を関係付けずに保管する方法)や自動ロボットの導入などにより合理化を進めることで、配送時間の短縮化に努めてきた。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 2007年には、アマゾンのお膝元であるシアトルで試験的に生鮮食品の翌日配送を開始した。以来配送時間は年々短くなり、今では「アマゾン・フレッシュ」の名称で、即日配達を全米の都市部へと着実に拡大しつつある。

 アマゾン・フレッシュの取扱商品は実に豊富で、日用品に始まり、家電、書籍、生鮮食品など50万点にも及ぶ。ただ、これらの商品を無料で即日配達してもらうには、年会費299ドル(プライム年会費99ドル含む)に加え、50ドル以上の注文が必須となる。プライム特典付きといえども、299ドルの年会費はあまりにも高いといえよう。

 このように、アマゾン・フレッシュの料金を高めに設定せざるを得ない背景には、年々上昇する配送コストの問題が存在する。実際、15年の配送コストは昨年より31%も上回っており、しかも売上高の増加率をも超えているという。配送料無料を基本とするアマゾンとしては、こうした配送コストを補うために、即日配達を武器に富裕層から徴収せざるを得ないというわけである。

超えるべき課題


 最近では、ドローンを使って30分配送の試験を敢行している。さらには、一般人にも荷物を配送させる仕組みを検討する動きもみせており、社内ではこの仕組みを運用するためのアプリが開発されているという。ここまでくると、もはや話題づくりの感は否めない。なぜなら、これらの取り組みが実行されるまでには、規制面や運用面など超えるべき課題が少なくないのも事実であるからだ。

 アマゾンの超速の配送サービスの概念は、「週」から「日」へ、さらには「時間」から「分」へと着実に進化を遂げつつある。競合より早く配送して差別化を図るというアマゾンの飽くなき挑戦はまだまだ続く。彼らが仕掛ける超速の配送サービスには、「限界」がないようである。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)