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アーチ1本5百億円…新国立競技場、入札でJSCが不正疑惑、予算巨額膨張を隠蔽か

文=平沼健/ジャーナリスト

 また、デザイン決定後かなり早い段階で、「複数の建設業者がJSCに対して総工費が3000億円を超えることや、技術的問題から開閉式屋根の設置が2020年の東京オリンピックまでに間に合わない可能性があると進言していた」と、都内の建設業者は明かす。

 しかし、JSCはその指摘を放置して文科省に報告せず、デザインを練り直すだけの時間的余裕がなくなった今年4月に入ってから報告したことが明らかになっており、JSCのずさんな対応が迷走を招いたといえる。

 JSCの実態は、文科省の外郭団体で、文科省をはじめ財務省などの官僚が役員として天下りする組織である。

 そもそも旧国立競技場の解体工事に関しても、入札に関して不正が疑われている。最低価格で落札したフジムラが失格とされ、理由は明らかになっていない。2番目に低い価格を提示した業者も、品質確保ができないおそれがある場合に実施する「特別重点調査」の対象としてJSC側が契約を保留するなど、不自然な点が目立った。

 その後、フジムラが不正入札の疑いがあるとして内閣府に告発した。

 入札の際、JSCは入札書と工事費内訳書の提出期限前であるにもかかわらず、各業者の内訳書を開封し、事前に入札金額を把握していた。さらにJSCは、内訳書の開封と並行して予定価格を決める手続きを進めていたという。

 このことをフジムラ側は問題視し、「予定価格の決定が恣意(しい)的に操作されたとの疑いを持たれる行為。公正性や公平性の確保で重大な疑義がある」「各社の入札額を先に確認してから予定価格を決めたと疑われても仕方ない」と批判している。

 その後、内閣府の調査においてJSCの河野一郎理事長は、「(入札情報が)漏れたとは考えていない」「(落札価格の)操作事実はない」と答え、談合入札を否定した。

 しかし、民主党議員の蓮舫氏による「苦情を申し立てた業者、落札した業者、解体設計者にはヒアリングしたが、JSC関係職員11人にはヒアリングしていない」との指摘に対し、河野理事長は「私が直接ヒアリングした。したがって調査部会はヒアリングをしていない」と答えるなど、調査に対しても疑義が湧き上がり、再入札となった。

 総工費とは別に、新国立競技場は将来負担する修繕費と大規模改修費だけで1000億円近く、さらに年間維持費は約45億円にも上ると見られている。ちなみに旧国立競技場の年間維持費は約4億円、横浜国際総合競技場は約5億円、埼玉スタジアムは約6億円で、桁が異なる。

 このように巨大な利権が絡む新国立競技場建設には不透明な部分が多く、各所で汚職などもささやかれる事態となっている。
(文=平沼健/ジャーナリスト)

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