NEW

女性スタッフの「容姿ランク」流出事件のあの企業、異例づくめの女性だけ営業部創設の狙いは?

【この記事のキーワード】

, , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テンプスタッフ本社が所在する新宿マインズタワー(「Wikipedia」より/Ken-st)
 人材サービス業界2位、テンプホールディングス(HD)傘下のテンプスタッフは女性だけで編成するダイバーシティ営業部を新設した。子育て中で時短勤務している社員ら12人が所属、勤務時間は遅くても午後6時までで残業はない。営業手法や業務のフローを見直すことで仕事の効率化を図っている。将来的には社内の全職種で、時間の制約のある社員でも活躍できる環境づくりに向けたノウハウを蓄積する。

 テンプスタッフは正社員の5割強が女性。このうち過去3年間のうちに育児休暇を取得した女性社員は18%。育児中の女性社員は周囲より早い時間に帰ることに申し訳なさを感じ、管理職を辞退したり、自分で仕事の範囲を限定する人も少なくなかったという。

 そこで、時間に制約のある女性社員だけで構成する、残業ゼロの営業部隊を設置した。営業部長も女性のため、新たな管理職の評価制度を導入する。

女性活用のカギは営業職にあり

 1973年に現会長の篠原欣子氏がテンプスタッフを創業した当時、社員は全員女性だった。80~90年代、事業拡大のためにモーレツ営業で鍛えられたリクルート出身の社員を採用して業容の拡大を図った。営業重視のリクルート出身の男性社員と、スタッフ重視の生え抜きの女性社員が対立することもしばしばあったという。

 98年1月、創業以来最大の不祥事に見舞われた。テンプスタッフに登録している全国の女性9万人の個人情報が「容姿ランク付き」でインターネット上に流出した。システム開発に関係していた外注業者が持ち出していたのだ。

 物議を醸したのが容姿ランク付きという点で、「営業重視、極まれり」と批判された。この事件を受け、原点に戻って女性の登録スタッフに対して丁寧なケアをすることになった。

 だが同社に限らず営業の世界では、一部業種を除き女性は少数派だ。

 一般社団法人営業部女子課の会代表理事の太田彩子氏は、職場で孤立しがちな営業女子のネットワークづくりに取り組む。太田氏は早稲田大学法学部在学中に長男を出産。リクルートで営業担当だったときには、成績トップで3度の社内表彰を受けた経歴の持ち主だ。太田氏は、女性の営業が増えない理由をこう分析する。

(1)顧客優先となるため、長時間労働になりがちで、家庭との両立が難しい。
(2)体力勝負、根性論、酒を介した接待など、男性的な働き方が重視されてきた。
(3)会社や組織が「女性に営業は向かない」と思い込み、育てようとしてこなかった。
(4)出産や育児で営業を離れてしまうことが多く、30代以上の先輩の女性社員や女性管理職が少ない。若いうちから管理職を目指す意識も育たない。