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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

過度な減塩は危険&体に害!「塩は高血圧の原因」はウソ?精製塩はダメ、良い塩とは?

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 さらに追い討ちをかけるように翌55年に発表されたのが、メネリー博士の研究です。動物実験の結果を基にしたものですが、その実験とは、10匹のネズミに通常の20倍の塩を6カ月間投与し、さらに飲む水も1%の塩水にしてあったのです。この塩分量を人間に換算すると、一日約500グラムにも相当するのですが、果たしてこれが信憑性のあるものなのかどうか、誰が考えても疑問だと思います。そして結果的に4匹のネズミが高血圧を発症し、残りの6匹には変化がありませんでした。メネリー博士は、この結果をもって「塩を摂りすぎると高血圧になる」という結論を導き出しています。

 今から考えれば明らかにおかしいこの説を、なぜか真に受けてしまった日本はその後、国を挙げての減塩運動に向かい、厚生労働省は2015年4月より、一日の塩分摂取量を成人男性で8グラム以下、成人女性で7グラム以下を推奨しています。健康な人が、それで正常な食生活を送ることができないことくらい考えなくてもわかりそうなものですが、それを堂々と発表して憚らないのです。

 推奨している厚生労働省の職員が本当に一日8グラム以下の塩分摂取で過ごしているのかどうか聞いてみたいところです。さらに、50年以上にわたって続けてきた減塩運動の効果はどうだったのかというと、高血圧の患者は減っていないどころか、増えているというのが悲しい現実です。

 また、イギリスの医学誌「ランセット」に発表された論文で、食塩の摂取量と病気の罹患率の関係を調査したものもあります。それは、男性、女性を別々に食塩摂取量の少ない順に4つのグループに分けて、さまざまな病気の罹患率を比べるというものです。その結果は、食塩の摂取量と高血圧には、関係性は見られませんでした。逆に、心筋梗塞など心臓血管疾患による死亡率は、食塩摂取量の最も多いグループが最も低く、食塩摂取量が最も少ないグループが最も高いという結果が出ているのです。健康な25~75歳の成人で、約21万人を対象としたアメリカの「国民栄養調査」から得たデータですので、ある程度信頼してよいと思われます。

 つまり、「塩は悪者ではない」と現段階ではいえるのではないでしょうか。ただし大事なのは、どんな塩を選んで食べるのかということです。

 結論としては、「塩化ナトリウム99%以上」と書いてあるような精製塩を摂ることを一切やめて、塩化ナトリウム以外のミネラル分の比率が5~10%程度の塩を、体の欲求に応じて、適度に摂るべきでしょう。筆者は、そのくらいのミネラル分の比率が最も食用に適していると考えています。ちなみに、ほとんどの加工食品に使われている塩は劣悪なもので、摂ってはいけないということもご承知おきください。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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