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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

ルンバ、世界的大ヒットの裏に14個の失敗例 技術より大切な、仮説と検証の愚直な繰り返し

文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー永井代表

 つまり、同社がルンバで成功したのは、単なる幸運ではないということだ。アイロボット社は、自社の技術的な強みを生かした上で、その強みを必要とする対象顧客を絞り込み、顧客の課題をいかに解決してビジネスにつなげるか、いくつもの仮説を考え抜いて検証してきたのである。

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 つまり、テクノロジー企業であるアイロボット社が実践してきたのは、「モノづくり」ではなく「マーケティング」なのである。

 我々が学ぶべきは「ルンバという製品」ではなく、「アイロボット社の考え方」だ。そして、その「アイロボット社の考え方」は、実は同社の専売特許ではない。オーソドックスなマーケティング思考で「顧客が買う理由」を仮説として考え、愚直に検証してきた結果だ。

 考えてみれば、日本企業が持っているような優れた技術の蓄積は、一朝一夕に真似できるものではない。一方で、マーケティング思考は考え方を変えれば、身につけるのは難しくない。アイロボット社の成功は、「モノづくり」にこだわってきた日本企業に、「モノづくり思考」と「マーケティング思考」の両輪で考える大切さを教えてくれる。
(文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー永井代表)

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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