NEW
町田徹「見たくない日本的現実」

スカイマーク再建、欲望衝突で崩壊寸前 2次破綻の恐れも 元凶・太田国交相がデルタ排除

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)
 日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)の2~3倍の売り上げを誇る米巨大エアライン、デルタ航空が、破綻した国内航空3位スカイマークへの出資に名乗りをあげた。これが政治家や官僚の目には、ドル箱と呼ばれる羽田空港の発着枠を奪い、国益を蹂躙する“現代の元寇”と映っているらしい――。

 太田昭宏国土交通大臣は17日の記者会見で、スカイマークが保有する羽田空港の発着枠について「国内線を国際線に転用するのは認められない」と言い切り、デルタの思い通りにはさせないという意味だと受け止められた。

 だが、これほど首尾一貫しない発言も珍しい。なぜならば、太田大臣こそスカイマークの再建策が浮上するたびに、JALやANAの傘下に入って第3極の航空会社が消滅することは容認できないと言い続け、スカイマークを破綻に追い込んだ張本人だからだ。今、太田大臣が目を向けるべきは、デルタこそスカイマーク再建の最強のパートナーとする米国系債権者たちの主張が事実かどうかだ。これといった足場を日本に持たないデルタが、ANAより手厚いコードシェア(共同運航)や整備支援を提供できるという主張の真贋を冷静に検証すべきである。

 今が平時で、航空市場のダイナミックな競争を促す環境が整っているのならば、大口債権者である米航空機リース会社イントレピッド・アビエーションの求めに応じ、デルタがスカイマークの再建パートナーとなり発行済み株式の20%未満を出資するという再建策は、おおいに検討に値する話かもしれない。世界3大アライアンス(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチーム)が激しい競争を繰り広げる国際航空市場と違い、日本はANAとJALの2社寡占が進む一方の市場となっているからである。破綻した第3極の航空会社が、新たに強力な後ろ盾を得て復活し、運賃、サービス、安全で多様な競争を挑むのは、消費者として喜ばしいことだ。ビジネスやオフの空の旅がずっと快適になるかもしれない。

 しかし、事態は急を要している。表面的には、民事再生手続き中のスカイマークの経営は小康状態を保っている。ゴールデンウィークと夏休みのある上半期は、航空各社の稼ぎ時であるため、キャッシュフローにも余裕ができるのだ。だが、安閑としてはいられない。ANAをスポンサーとするスカイマーク自身の再建策と米国勢の再建策の調整が難航して、儲からない下半期入りすれば、昨年のように資金繰りが再びひっ迫してスカイマークが2次破綻しても不思議はないのだ。

不備だらけの再建計画


 もちろん、すでに固まっているとはいえ、スカイマーク自身の再建計画は万全とはいい難く、むしろ不備だらけである。経営に関しては素人の弁護士が裁判所のお墨付きを得て再建計画の「監督委員」に就き、再建に向けたつなぎ融資をした投資ファンドのインテグラルの利害を極端に尊重する裁定を下したことが、その原因だ。インテグラルの追加資金拠出を抑えたため、債権者への弁済に充てる新資本金をわずか180億円しか確保できなかった。インテグラルにとっても、喜べるスキームではない。資本の過半を握ったものの、通常のファンドの投資ではあり得ない、5年間にわたる資金の塩漬けを余儀なくされたからだ。