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絶望のソニー、その惨状 平井社長への不信充満、穴だらけの成長戦略に酷評相次ぐ

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 新中計の基本方針に関しても、OB株主から「ソニーは経営数値目標に『ROE(株主資本利益率)10%以上』を掲げているが、例えばプレイステーションはROEを追求したから開発できたのか。ROE追求はアナリスト受けを狙った作文ではないのか」と辛辣な質問が浴びせられた。この質問は、短期的な利益追求により長期的な技術開発がなおざりにされることへの懸念だった。ソニーは長期的な開発投資を怠り、テレビ、パソコンなどのエレキ事業衰退を招いたとされているからだ。

 これに対して、吉田憲一郎副社長兼CFO(最高財務責任者)は、「ROEは経営の目的ではない。経営の目的は、あくまでも商品価値の提供にある。ROEは経営の目標数値であり、経営の規律だ。短期的な利益追求指標ではない」と、新中計の経営数値目標への理解を求めた。

 ソニーが新中計の成長領域としたのは、デバイス、ゲーム・ネットワーク、映画・音楽の3分野。テレビ、スマホなどの消費者向けエレキ事業は「リスクコントロール領域」に位置付け、事業リスク低減を最優先にしている。そのため、「平井社長に消費者向けエレキ事業への投資意欲はない。今は事業売却のチャンスを探っているだけ」(証券アナリスト)との見方も強い。

 図らずも株主総会では、エレキ事業に「ソニーらしさ」や「ソニー復活のシンボル」を期待するOB株主やソニーファン株主と、経営陣との溝の深さがあらわれたといえよう。

丼勘定

 昨秋開かれた新中計策定の経営企画会議で、吉田氏は「経営の規律を徹底しなければならない」と主張したという。13年12月に子会社のソネットからソニー本体に復帰した吉田氏は、かねてから「ソニーの丼勘定経営に危機感を抱いていた」(同社関係者)ともいう。

 その典型が事業管理だった。エレキ事業の売上高はピークだった07年度の約6兆円から13年度は約3兆円に減っているのに、13年度の同事業管理費は約1500億円で、07年度よりも増えている。これが、収益低下要因にもなっている。

 平井体制の下で、責任も丼勘定になっていた。14年5月の取締役会で、平井氏は「13年度のエレキ事業の営業赤字拡大の責任を取らなければならない」と、エレキ事業に関わる本社と子会社の役員約40名全員の賞与返上を提案した。この時、吉田氏だけが「一口にエレキ事業が赤字といっても、利益を上げている部門もある。その部門の役員に赤字部門の役員と同じ責任を取らせるのはおかしい」と反対。ちなみに同提案は賛成多数で決議された。

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