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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

倒産続出、75%が赤字、植物工場でビジネスは無理?放射能汚染地や昭和基地が適地?

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 第三の課題が、野菜のマーケティングと販路の拡大だ。種まきから収穫までの生産工程管理をきちんとコントロールできれば、栄養成分や形・大きさ・重さなど、野菜の品質・規格を一定にすることが可能だ。

 加えて、土壌や空気を介した雑菌汚染が少ないため無農薬栽培が可能で、傷みや品質低下が軽減されるので、「収穫後の日持ちが良い」「水で洗わずに食べられる」といった付加価値がつく。消費者からは、それなりの支持も得られそうだ。経産省の消費者調査には、以下のような内容がある。【編注8】

植物工場野菜をすでに購入・利用している理由」として、「安心・安全(農薬・害虫の心配がない)」がトップ(29%)で、次いで「規格・品質が安定している(味・色・形など)」(17%)、「新鮮」(15%)などが続く。

植物工場の未来は、特殊用途にこそあり?


 しかし、円安で食品の値上げが続く中、野菜の購入や選択における消費者の目は厳しくなっている。植物工場産の野菜は割高なため、一般の野菜との価格競争は厳しくなるばかりだ。

 そういった価格競争に巻き込まれることなく、存在感をアピールできるような植物工場産野菜は、どれだけあるのだろうか。実に心もとないといわざるを得ない。

 これらの事情を鑑みると、植物工場の野菜ビジネスには、根本的に無理があるのではないかと思う。では、逆に植物工場にとって無理のない分野はなんだろうか。倒産したみらいが行っていた事業に、その答えがある。前述した、昭和基地とモンゴルだ。この2つの場所には、農業不適地という共通点がある。

 農業不適地での野菜栽培というのは、いわば特殊用途だ。そして、スーパーマーケットなどへの流通という一般用途ではなく、そういった特殊用途にこそ、植物工場野菜の本領が発揮されるのではないだろうか。特殊用途といえば、砂漠や高地、被災地、放射能汚染地、巡視船など公的な大型船舶、宇宙空間、そして野菜や植物の生理研究用の特殊実験などがある。

 このような公共的要素の強い特殊用途ならば、植物工場は存在価値がある。たとえ高コストで、それを補助金でカバーするかたちであっても、国民の理解を得られるのではないだろうか。植物工場の未来は、そこにあるような気がしてならない。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

【編注1】(「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)2015年5月5・12合併号、P90~91「植物工場は『金食い虫』不安定な生産とコストが課題」)

【編注2】帝国データバンク「大型倒産速報」
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4071.html

【編注3】みらい公式サイト
http://miraigroup.jp/

【編注4】(【編注2】と同じ)

【編注5】
1.NPO法人イノプレックス「植物工場ビジネスの将来性―調査レポート『植物工場の6割赤字/収支均衡3割の現状を打破するためには』2011年2月改変」

2.野村アグリプランニング&アドバイザリー調査部の佐藤光泰主席研究員「植物工場のビジネス化に向けて」(2011年7月)p6に、総合プランニング「2011年植物の工業的栽培市場の現状と将来展望」(2011年2月)を出所として、「参入している企業の70%が、現在、赤字」とある。

【編注6】(【編注1】と同じ)

【編注7】農林水産省、経済産業省「植物工場ワーキンググループ報告書」(2009年4月)

【編注8】経済産業省「植物工場に対する意識調査」(2009年10月)

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