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増加する熟年離婚 財産分与、慰謝料、年金分割…男性はお金の消耗大?

文=大竹のり子/CFP、株式会社エフピーウーマン代表取締役
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相手に非があれば、慰謝料請求も可能

 財産分与のほかに発生する可能性があるのは慰謝料だ。性格や価値観の不一致などを理由にした離婚の場合には発生しないが、不倫やDV(家庭内暴力)など、どちらかに明らかな非がある場合は、相手から慰謝料請求を受けることもある。慰謝料の相場は、不倫などの不貞行為で100~500万円程度、DVや言葉・精神的暴力のモラハラで50~300万円程度とされているが、慰謝料を払う側の年収、職業、年齢、婚姻期間などによっても金額は変わってくる。熟年離婚だと婚姻期間が長いため、若いうちの離婚より慰謝料が高額になるケースも多い。

 慰謝料は男性側が払うものというイメージが強いが、もし妻が不倫などの末に離婚を申し入れた場合、夫側は妻と不倫相手それぞれに慰謝料を請求することができる。

年金分割で将来の受給額減額は確実?

 老後を支える柱である年金も、離婚により減額する可能性がある。07年4月に、離婚時に夫婦の年金を分割できる年金分割制度が導入された。これにより、婚姻期間中に納めた厚生年金または共済年金部分を、離婚後に夫婦で分割できるようになったのだ。離婚後、年金を別々に受け取ることになれば、夫婦合算で考えていた年金額は目減りしてしまう。ただし、基礎年金である国民年金部分は対象外なので、すべてが分割対象になるわけではない。

 夫が働き、妻が専業主婦だった場合、「自分の給与から払った年金はすべて自分のもの」と主張したくなるかもしれないが、分割割合でもめて家庭裁判所の審判を仰ぐことになった場合、現在までの判決のほとんどは、「制度上の上限である50%を妻の取り分にする」という結果なのだ。熟年離婚となったら、年金額が減ることは覚悟せねばならないだろう。さらに、夫婦であればもらえたはずの加給年金なども当然なくなるので、老後のマネープランを大きく変更せざるを得なくなるだろう。一人になれば生活費は減るが、自炊が苦手な人は必然的に外食やコンビニ弁当が多くなるし、家事サービスなどを利用すれば、むしろ出費は増える可能性もある。

 こうして見てみると、熟年離婚は男性にとって不利になることが多く、相当なエネルギーとお金を消耗すると覚悟しておいがほうがよいだろう。
(文=大竹のり子/CFP、株式会社エフピーウーマン代表取締役)

●大竹のり子 株式会社エフピーウーマン代表取締役、ファイナンシャルプランナー(CFP)
 出版社の編集者を経て2005年4月に、女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演など多くのメディアを通じて女性が正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など、お金の分野での著書は40冊以上に及ぶ。一般社団法人金融学習協会理事。

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