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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

ディズニーR、“殿様商売”でも9割リピートの謎 裏に莫大なコスト&安売りできない宿命

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

 では逆に、そういった経営方針だからこそのデメリットはあるのだろうか?

「クオリティを維持するために、莫大なコストがかかる点です。その上、TDRはどんなことがあっても、商品やサービスの品質を下げる“安売り”ができない宿命を背負っています。この先、長期的に動員者数が落ち込むことがあると、立ち行かなくなる危険も少なからずはらんでいます。さらに、食事制限のある人以外の弁当の持参を禁止したり、権利関係に厳しかったり、夢の世界を守るために消費者に制約を課す体質も特徴的です。いわゆる殿様商売的な側面があり、これも経営が苦しくなった時にどう受け止められるのかは未知数です。それでも、開園以来入場者数を増やしているのは、そういった問題がささいに思えるほどの全体に目の行き届いた経営努力があるからでしょう」(同)

ディズニーとは違うコンテンツ力で再生したUSJ

 一方、USJも開園して数年で一時的に動員数が落ち込んだものの、現在は見事に持ち直している。

「ディズニーと違い、象徴的なキャラクターこそありませんが、ディズニーの『夢の世界』に対して、USJは『映画の世界』というコンセプトがあります。このコンテンツの力は大きいでしょう」(同)

 USJは映画『ハリー・ポッター』シリーズをテーマにした新エリアが大盛況で、これらも動員数上昇に一役買っているようだ。

「ディズニーアニメよりも、ハリウッドなどの海外映画や『進撃の巨人』といった国内で話題のコンテンツのほうが、シリーズ化して世間に定着しやすい傾向があります。それらとうまくコラボレーションすることで、アトラクションのスクラップ・アンド・ビルド(事業や部門などで古いものを整理して新しいものをつくること)を比較的簡単に行うことができます。一時的に経営が傾いたとしても、ヒット映画が生まれればいくらでも立ち直るポテンシャルがあるのです。それが、ディズニーとの差別化ができている点です」(同)

 すでに確固たるコンテンツがあるとはいえ、それをアトラクションとして忠実に再現することは簡単ではない。しかし、TDRもUSJも妥協しない“国づくり”が成功したことで、テーマパークとして見事に不動の人気を得ているといえそうだ。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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