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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

世界最大の広告祭「カンヌライオンズ」訪問レポート 世界の経営とマーケはここまで進化!

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員

「スケール」を追求するグローバル企業、「効率化の罠」にはまる日本企業

 では、P&Gユニリーバなど、マーケティングのトップを走るグローバル企業は、どこに向かおうとしているのだろうか。今回、多くのCMO(マーケティング最高責任者)に共通していた言葉は「スケール」だ。

 彼らは、国や地域によって社会環境や文化の違いが存在することを認めつつ、それ以上にソーシャルメディアの普及により、国境を越えて多くの人々が同じような情報やコンテンツに瞬時に触れることができ、「共通する価値観や問題意識」を持ちつつあることに着目している。

 そして、そのようなスケールを獲得できるテーマを見いだし、いかにブランドと関連づけるかという点を重視していた。

 一方、日本企業は、いわばその対極にある。メディア環境の変化により、これまでのようなテレビや新聞を中心とした「マス」によるアプローチが、若年層を中心に非効率的になってきた。

 さらに、DSP(デマンドサイドプラットフォーム:オンライン広告において、広告主の利益が最適化された広告配信プラットフォーム)やDMP(データマネジメントプラットフォーム:自社および外部のデータを一元管理するプラットフォーム)など、“個客”別のアプローチが可能なアドテクノロジー(広告技術)が利用できるようになった。

 それにより、マーケティングを強化している企業ほど“脱マス”を進め、顧客の嗜好などの違いに応じたセグメント別のアプローチを取るなど、コミュニケーションの「効率化」に向かっている。

 もちろん、効率性を追求すること自体に問題はない。しかし、それを追求するあまり、スケールを獲得することが忘れ去られ、縮小均衡のこぢんまりとした状態になりつつある。

 ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば、「企業の目的は顧客の創造」にある。それを踏まえれば、効率化は魅力的な分野に多く投資する、キャッシュを捻出するための手段だ。あくまで、最終的なゴールはスケールの獲得である。

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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