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旭化成が抱える爆弾 過去最高益でも投資判断「格下げ」の深刻な事態

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旭化成ホームプロダクツ「サランラップ」
 M&A助言会社レフコの調査によれば、2014年度(14年4月~15年3月)に日本企業が行ったM&A(合併・買収)は前年度比5.3%増の555件と4年連続で過去最高となった。買収総額も16.3%増の8兆895億円で、同じく過去最高を記録した。

 円安の進行で以前より買収案件の割高感が強まっているにもかかわらず、業績改善で企業の手元資金が積み上がる中、M&Aで海外市場の成長を取り込む動きが広がっている。株式市場が注目するのは、巨額の海外M&Aが、買収元企業に成長と利益をもたらすかという点である。

旭化成、相次ぐ巨額M&A

 5月27日、旭化成の浅野敏雄社長は経営説明会で、2016年4月からの次期中期計画期間中に6000億円規模の成長投資を行うと発表した。石油化学・繊維・エレクトロニクスで構成するマテリアル事業、住宅と建材の住宅事業、医薬・医療やクリティカルケア(救急救命医療)のヘルスケア事業の主要3領域で、収益性の高い製品群拡充のために重点投資をする。

 海外M&Aが、次期中計の成否を決めることになる。16年3月までの5カ年計画では、1兆円に上る成長投資の予算枠を設けた。12年に1800億円で買収した米救急救命医療機器会社ゾール・メディカル(以下、ゾール)は、この投資案件のひとつ。大型投資の目玉が今年2月に発表した米ポリポア・インターナショナル(以下、ポリポア)の電池用セパレーター(絶縁材)事業で、2600億円を投下した。

 旭化成の16年3月期連結純利益は前期比0.3%増の1060億円と、3期連続で過去最高を更新する見通し。売上高は微増ながら初の2兆円、営業利益は3.8%増の1640億円を見込む。合成ゴムや自動車部品用の樹脂といったケミカル、紙おむつ用の不織布をはじめとした繊維、電子部品などのエレクトロニクスで利益が伸びるとの予想を立てている。

 一方、研究開発費が増える医薬・医療と、施工費の上昇で採算が悪化する住宅は減益となる。前期に51億円あった為替差益は縮小するとみられている。

 株価は、10年来の最高値1260.0円(15年3月19日)を更新する期待が高まった。しかし、6月19日には985.0円の安値に沈んだ。その後も1000円前後で推移している。大型M&Aの「高値づかみの懸念から株価が下がった」(市場筋)。みずほ証券が6月12日、投資判断を「買い」から「中立」に格下げし、目標株価も1300円から1000円に引き下げたことが影響した。医薬品の特許切れや薬価改定の影響、エレクトロニクス事業でもポリポア買収に伴うのれん代の償却等が収益を圧迫するとみられている。

のれん代という重石

 旭化成が採用している日本会計基準では、のれん代を20年以内に毎期定期償却する必要がある。同社の新事業で最も伸びているのは、ヘルスケアの中でもクリティカルケア(救急救命医療)の領域だ。12年に1800億円で買収したゾールは、のれん代の償却額を上回る利益を生み出した。