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雨宮寛二「新・IT革命」

“平均並み”化するiPhone、乗り換え率急低下 アップル、加速する中国依存の落とし穴

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アップルのiPhone
 7月21日(米国時間)、米アップルの2015年4~6月期決算が発表された。売上高は前年同期比33%増の496億500万ドル、純利益は38%増の106億7700万ドルだった。3割超の成長を果たし一見順調そうに見えるこの数値には、どのような落とし穴が潜んでいるのであろうか。

 アップルの主要な収益源であるスマートフォン(スマホ)、iPhoneが、同社の浮沈を左右する。今回の売上高でもiPhoneは、同社売上高全体の63%を占めた。10年に38%の占有率で同社のトップセールス製品となって以来、毎年その割合を高め、iPhoneはこれまでアップルの売り上げを牽引してきた。

 このiPhoneについて、ティモシー・クックCEO(最高経営責任者)は、アナリストらとの電話会議で、「iPhoneは長続きするというのが我々の見方だ。(略)この先、何年もである。iPhoneには革新の余地が多く残されている。まだ試合は序盤戦であって、終盤戦ではない」と言及している。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 この考え方は果たして正しいのだろうか。

「革新の余地が多く残されている」との考えは、iPhoneの将来的な可能性を感じさせるものであるが、アップルはiPhone発売以来これまで1度しか、この革新の試みにチャレンジしていない。それは、iPhone 4S発売を契機に搭載した音声アシスト機能Siriの投入である。Siriは成熟市場となりつつあるスマホ市場に未成熟な市場を創り出すための新たな試みであったが、音声認識率の向上がその後進まなかったことから、その役割を十分に果たすことはできなかった。

 だが重要なのは、革新へのチャレンジである。これからのアップルにとって重要なのは、まさにSiriに見られるような「脱成熟化」への試みであろう。今や新たなる画期的な製品の開発が難しいアップルにおいては、iPhoneという既存製品の中に革新を見いだすしかすべはない。それは、成熟した市場を未成熟な市場に変えていく試みでもある。この試みを続けていくことができれば、iPhoneの製品寿命を延ばすことは可能となろう。

乗り換え率に陰り


 他方でクック氏は、成長著しい中国市場について、「中国がいずれ米国を抜いて最大の市場になる」と述べ、かなり楽観的な見方を示している。確かに本決算の地域別の売上高では、中国が前年同期比112%増の132億3000万ドルと大きな成長を遂げ、米国の202億900万ドル(同15%増)に続いて第2位の市場となっている。

 それでは、中国の成長はこのまま続くのか。