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しつこく表示のネット追跡型広告が消滅?法改正でネット企業に大打撃の懸念も

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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「3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと」

 具体的には、「困惑類型-威迫等による勧誘」の中の「不退去」の規定で、本来は昭和30年代によくみられた玄関に居座って脅して売る「押し売り」(一)や、その後の時代に問題になった、消費者を店や事務所に閉じこめて無理やり買わせたり、契約させる行為(二)を取り締まるための条文である。これを、消費者が「迷惑」と感じるネットの追跡型広告の取り締まりにも適用するための見直しが今、論議されているのだ。

 極端な話をすれば、法改正により、消費者がネットの追跡型広告をクリックすることで商品やサービスを購入した時、後から「あの広告はしつこくて迷惑だった」と申し立てれば、クーリングオフの期間が過ぎていても契約の取り消しができることになる。後でぞろぞろ取り消されては、広告の効果はゼロに近くなる。そのため広告主が「追跡型広告」を出さなくなったら、法改正を境にこのタイプの広告はネット上から消えていくことになるだろう。

 実際は、改正・見直しの作業の中で「迷惑な広告」の定義や取り消しの手続きなどで消費者サイドの法律の乱用を防ぐ手だてが盛り込まれる可能性はある。しかし、法改正が論議されて「迷惑な広告」の定義が条文に反映されれば、「追跡型広告は消費者に迷惑がられている」というイメージの悪化は避けられないので、広告主が自主的に手を引く動きにつながるかもしれない。

改正案は来年の通常国会に提出される見通し

 消費者契約法については消費者庁が昨年、「消費者契約法の運用状況に関する検討会」を開いて10月に報告書が出ている。それを受けて昨年11月から内閣府消費者委員会の専門調査会で見直し作業が進められている。8月に中間取りまとめを行い、その後で事業者へのヒアリングを実施して今年度中には最終答申が出る。その後、消費者契約法の改正案が来年の通常国会に提出され、可決、成立というスケジュールになっている。残された時間はそれほど多くない。

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