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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

「数学がわからない」など許されません!単純労働しかできない?日本の国力低下懸念

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「Thinkstock」より
 筆者が講師を務める財務分析セミナーでのことだ。財務分析といえば、○○利益率や○○回転期間など多くの計算式が出てくる。それを意味もなく教えるのは良しとしていないので、式の意味や成り立ちにこだわった説明をしていた。昼休みに、たまたま数人の受講者とエレベータに乗り合わせた。彼らは、筆者がいるのを知ってか知らずかセミナーの感想を話し出した。

「今日みたいな説明、理系の人にとってはわかりやすいんだろうね。自分にはどうもダメだわ」

 これを聞いて、「あー、またか」と思った。

数学が苦手な人が多すぎる


 今回の件に限らず、普段の仕事の中で数学を苦手とする人にずいぶんとお目にかかる。筆者が接することの多い本社スタッフ部門は文系出身の方が多く、早々に数学を捨ててしまった人が少なくないのだ。

『ケースで学ぶ管理会計』(金子智朗/同文舘出版)
 しかし、一体いつ誰が数学を捨てていいと言ったのだろうか。

 よく「数学なんかできなくても、足し算引き算ができれば生きていける」などという人がいる。確かに、数学とはほとんど縁のない分野もあるだろう。しかし、少なくともビジネスの世界に進もうと思っている人にはこう言いたい。

「足し算や引き算ができれば生きていける程度の生活でいいなら、それでいいでしょう」

 これからは、基本的な数学的素養のない人は、ビジネスの世界では単純な仕事しかできなくなっていくだろう。重要な意思決定に関わることができないからだ。もしかしたら、そういう重要なポストはしっかり勉強をしてきた中国人やインド人が占め、その下で一生、単純作業者として働く人生になるかもしれない。

 筆者が専門としている管理会計の分野では、数学的手法がよく出てくる。セミナーなどで「難しかった」という感想をいただくのは、大抵が数学的な部分だ。それは管理会計が難しかったのではなく、数学がわからなかったのだ。数学といっても、中学校かせいぜい高校1年生程度の数学だ。その程度の数学は常識にしたいものだ。ちなみに、冒頭のセミナーで扱った内容は比率に関する指標なので、やっていることは割り算にすぎない。数学というのもおこがましいレベルである。

数学は言語


 このような話をすると、「私は文系なので、数学がわからなくて当然じゃないですか」という人がいる。日本の社会では、文系であれば数学はわからなくて当然という風潮が蔓延しており、数学ができるかできないかが、文系と理系を選ぶ重要な判断基準にさえなっている。