NEW
徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」(8月6日)

やっぱり成果主義は企業を滅ぼす!今こそ「心」と「信念」を重視する経営を取り戻せ!

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Thinkstock」より
 本連載ではこれまで5回にわたり、知識創造理論のSECIモデルをベースにした「SECIキャリアモデル」について論じ、自分自身の思いを育み、開花させ、次代につなげるキャリアや生き方について考えてきた。

 その背後にあるのは、自分自身の知識ベースをしっかり持つこと、つまり知の文脈を育てていくことの重要性だ。

 人生を通じた知の文脈づくりをすることで、私たちは自分の知性を磨き続けていくことができる。自分の知の文脈づくりに関心を払わないと、目の前の状況に動物的に反応するだけの人間になってしまう。

 しかし、知の文脈に関心を払って生きることができれば、着実に知が豊かになり、物事を深く考える基礎体力が身につく。それこそが知性であり、知性を土台にして強い思いや高い志がつくられていく。つまり、知の文脈づくりをすることで、信念の持ち主になることができると同時に、正しいことや本質的なことに向き合う知性のある人物になることができるのだ。

 答えが出ないような面倒で複雑な問題に対しても、いろいろな角度から検討して、真理に近づこうとする体力こそ、知性だ。その反対の姿勢が、常識的な答えで満足したり、複雑な問題を避けて通ったりすることである。そして、挙げ句の果てに、サラリーマンであれば「上司からの命令には逆らえない」ということになり、経営者であれば「利益を出し、株価を維持し、株式時価総額を高めることにしか目標を見いだせない経営」に行き着いてしまう。

 それが、最近問題になっている東芝の不正会計問題の本質ではないだろうか。

 ビジネスモデルを刷新したり、成長戦略を描いたりすることなく、現場レベルで短期的な収益の絞り出しを繰り返しているようでは、知的な判断も本質を問うこともできず、ただ目の前の処理に追われていくことになる。まさに、悪循環の構図だ。

 東芝では、長年不適切な会計処理がトップをはじめとした組織ぐるみで行われていたことが問題となっているが、知や思いを大事にしない組織風土がつくり上げられてきたことも問題視されるべきだろう。

 知性や思いのない組織は、主体的な判断ができなくなり、外部から与えられた課題に反応するだけになってしまう。

思いのマネジメント「MBB」とは


 この原因は、株主至上主義と成果主義の合わせ技によるところが大きい。個々人の業務が短期志向の業績追求型になっていき、じっくり確実に仕事をすることがなくなっていく。そうなると、思いを持つ必要もなければ、思い自体も生まれることはない。思いのないところには、信念や社会的視点を踏まえた判断基準も育たない。