NEW

興行収入好調の『海街diary』は、新しいプロデューサーシップの到来を告げるか?

【この記事のキーワード】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【リアルサウンド映画部より】

 『海街diary』の興行収入が20億円を超える見込みである。6月13日より公開中のこの映画は、吉田秋生の同名マンガ(2007年、小学館刊)を原作に、刊行当初から映像化を望んでいたという是枝裕和が脚本と監督を務めた。主演の四姉妹には、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。フジテレビを幹事会社として、原作版元の小学館、配給のギャガと東宝の4社で製作委員会が組まれている。是枝裕和監督の前作『そして父になる』(2013年)もほぼ同様のパートナー構成で、やはりフジテレビを幹事会社に、主演の福山雅治が所属するアミューズと、配給元のギャガが入り、興行収入は32億円を記録した。

 そしていま、もう一本好調なのは、5月30日より公開中の『あん』である(配給=エレファントハウス、最終興収見込み3〜4億円)。こちらはドリアン助川の同名小説を原作に、河瀨直美が脚本と監督を務めている。主演は永瀬正敏と樹木希林。フランスのComme des Cinémas、ドイツのTWENTY TWENTY VISIONとZDF-ARTEの出資による、日仏独の合作映画である(なおComme des Cinémasは、河瀨直美監督の前作『2つ目の窓』(2014年)ほか、公開が待たれる黒沢清監督『岸辺の旅』など、多くの日本映画に出資している)。河瀨映画のフランスでの圧倒的な評価が、このような製作体制を実現させたことは容易に想像できる。日本の中規模映画において、日欧合作というケースはまだまだ少ないように思われるが、国内で資金調達の難しい映画が、海外(とりわけ欧州)にプロダクションを求める例はアジアにも多くあり、これにならう製作例がもっと現れてよい。

 是枝裕和と河瀨直美は、ともにカンヌ国際映画祭で評価されてきた監督であるが、両者がともにドキュメンタリーからキャリアを始めている事実も興味ぶかい。テレビマンユニオンに所属していた是枝裕和はテレビドキュメンタリーから、河瀨直美は『につつまれて』(1992年)や『かたつもり』(1994年)などパーソナルなドキュメンタリー映画から歩みを始めている。90年代半ばに劇映画へと向かった両者の作品は、ドラマにドキュメンタリー性をもたらすことで、当時の大予算映画とは異なる独自のリアリズムをそれぞれに目指していた。けれども、カンヌ国際映画祭で柳楽優弥が最年少で主演男優賞を受けた『誰も知らない』(2004年)が9億円のヒットを記録したほかは、いずれも興行的にふるうことはなかった。だから日本独自の興行セオリーに則った製作委員会方式において、『そして父になる』と『海街diary』が多くの観客を集めている事実は、改めて強調されてよい。

続きはこちら