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東芝、不正会計隠蔽のために社員を大量リストラしていた!

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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 当時のパソコン部門トップの下光秀二郎氏が11月の社長月例で、08年度第3四半期の営業利益の見込みがマイナス184億円まで悪化したことを報告すると、当時の西田社長は「いくら為替が悪いと言っても話にならない。とにかく半導体が悪いのだから、予算(営業利益101億円)を達成してほしい」(調査報告書)と述べている。これが過大な目標を設定する「チャレンジ」と呼ばれるものだ。

 続く12月の社長月例の場でも、赤字見込み額184億円について下光氏に「こんな数字ははずかしくて(翌年1月に)公表できない」と述べている。その結果、パソコン部門は押し込み販売を実施し、08年12月単月で207億円の営業利益を計上し、第3四半期の営業利益は当初の184億円の赤字見込みから5億円の黒字へと劇的に改善した。

 こうした押し込み販売による利益のかさ上げは、09年6月に社長へ就任した佐々木氏の時代も続いた。

 しかし、四半期末にいくら利益のかさ上げをしても損失の先送りにすぎない。完成品を購入すれば部品の販売で発生した利益は帳消しになる。そうしないために継続的な押し込み販売を続けることになるが、未認識の債務は膨らんでいく。

 ちなみに見かけ上の利益かさ上げ額を東芝の関係者は「借金」と呼んでいたという。借金は13年度第4四半期には721億円に達している。この借金と本来の実力以上の利益の水増し分として解消の必要性のあるものを、「PC事業対策残」と呼んだ。

「借金」の解消

 そしてここからが、14年9月のリストラ計画に関わる部分である。14年2月、当時社長だった田中氏にPC事業対策残の洗い出しとその解消策について検討した内容が報告される。それをベースにパソコン事業のリストラ計画と一体となって検討されていくことになる。調査報告書ではその間の経緯についてこう記している。

「2014年5月20日開催の『課題事業総点検 緊急会議 PC事業第3回』において田中久雄Pなどからは『最大の優先は対策残。撤退にかかわる費用はできるだけ減らして、対策残解消額を増やしたい』との考えが示され、以後、この考え方をベースとして検討が進められ、2014年7月18日開催の第8回会議において、2014年度に502億円の損失を計上し、営業内費用として計上する450億円のうち300億円がODM部品の押し込みによる利益の嵩上げ額を減少することによる損失とされた」

 つまり、このリストラ計画の最大の狙いは利益のかさ上げ額である借金の解消にあったのだ。そして報告書はこう続ける。

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