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雨宮寛二「新・IT革命」

低額動画配信サービスの巨艦、日本参入でテレビ業界「侵食」なるか?その巧妙戦略

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NetflixのHPより
 Netflixネットフリックス)が、日本でストリーミング(動画配信)サービスを開始する日(9月2日)まで1カ月を切った。2007年に米国でサービスを開始して以来、これまで北中米や欧州を中心に海外展開を図り、今では世界50カ国で6500万人の会員数を誇る。豊富な資金力を背景に、日本市場でもサービスを普及させることができるのであろうか。

 日本ではすでに定額制の動画配信サービスを提供している事業者が複数存在する。huluやU-Next、dTVなどである。huluは11年にサービスを開始して以来、約60万人の会員数を獲得したが伸び悩み、その後、日本テレビに買収され、100万人まで会員数を伸ばしている。

 一方、音楽のライブ中継などを売りにして約12万作品を配信しているdTVの会員数は450万に達している。月額料金をhulu(933円)の約半額の500円に設定して、ローエンドモデルでありながら豊富なコンテンツの提供が視聴者に受け入れられている。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 こうした競合が存在する中で、ネットフリックスは日本市場で会員数を伸ばすことが可能なのか。

 日本市場でサービスを開始するために、ネットフリックスは数年前から市場を詳細に調査し、準備を進めてきた。今秋以降に発売されるメーカー各社のテレビがネットフリックス対応となり、リモコンに「Netflixボタン」が搭載されるのも、その成果のひとつであろう。

日本市場攻略の戦略


 だが、戦略として重要なのは、こうした小手先の仕組みづくりではない。ネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長も主張するように、コンテンツ重視の姿勢こそが成功のカギを握る。オリジナルコンテンツ制作は競合もすでに展開しているが、ネットフリックスは「膨大な視聴履歴の分析」に基づき、それに取り組んでいる。

 豊富な資金量をも生かしたこうした独自番組の制作は、視聴者獲得に大きな武器となろう。ただ、その際に注意しなければならないのは、できるだけ多くのコンテンツをラインアップに取り入れるとの観点から、特定の配給会社や番組制作会社、系列などとニュートラル(中立的)なポジションを保つことである。

 こうしたオリジナルコンテンツの制作に加え、戦略上もうひとつ重要なのが、価格設定である。ネットフリックスは米国市場で画質の差別化を図りながら、月額料金を7.99ドル(約958円)から11.99ドルのレンジで3段階に設定している。