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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

膨大な国の「隠れ」借金 一般の国債に紛れて流通、国民の税金で穴埋めの恐れも

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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通常の国債と混合される財投債

 一方、通常の国債は国の歳出に充てるための資金調達手段であり、返済のメドが立っているわけではない。返済の原資となるのは基本的には税収であり、税収が上がらなければ返済は滞る。返済を滞らせないために借換債といわれる国債を発行し、それにより調達した資金を返済資金に充てる。このようにして赤字は積み重なっていくのだ。

 それに比して財投債は、国債でありながら返済の保証がなされているという点で、通常の国債とは似て非なるものといえる。

 問題は、財投債が発行過程、流通過程、償還過程において、なんら一般の国債と変わらないところにある。財務省は財投債を発行する際に、「第○○回債が財投債である」とは公表しない。

 国債の発行によって調達された資金が財政投融資の財源となり、償還が貸付回収金によって賄われるという点で通常の国債とは異なるが、金融機関等での取り扱いは同じため、投資家から見れば違いはわからない。

 財投債という異質な国債が、一般の国債と混合して発行され、流通し、償還されることが問題視されないのは、財投債は返済が保証されているという点に尽きる。

 だが、本当にそれで良いのだろうか。財政投融資を受けている公庫、独立行政法人・特殊法人、国の特別会計や地方公共団体の経営が常に健全だとは限らない。財投債が必ず返済されるともいえないだろう。事実、旧国鉄清算事業団などは、その債務を最終的には国の一般会計、つまり国民の税金を用いて処理を行っている。

 国の信用により成り立っている国債と、返済が保証されることで成り立っている財投債。ギリシャの財政問題のように国の信用が低下した場合、国債は暴落する一方となるが、そのなかで財投債はどのような動きを見せるのだろうか。投資家には、どの国債が財投債なのかを知る権利がある。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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