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なぜ「安かろう、まずかろう」のかっぱ寿司買収?あの急成長企業、ついにマック超え!

文=福井晋/フリーライター
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 再建のコツは、やはり経営者に振り回されて疲弊しきった社員の士気回復にあるようだ。

 これに関して、コロワイド創業者の蔵人金男会長は14年11月30日付け日本経済新聞の取材のなかで、次のように語っている。

「買収した会社の社員には、真っ先に『これから当社は普通の会社になります』と話す。問題企業は経営者やオーナーが会社を私物化し、社員の改革意欲を奪っているからだ。だから『お客様にサービスして喜ばれることに誇りを持つ商人たれ』と、熱っぽく語りながら仲間意識の醸成に努める。まずは社員の改革意欲をかきたてるのが先決。そうすれば社員は自ら改革に立ちあがる」

 コロワイド関係者によると、蔵人氏の口癖は「カンパニーとは同じ釜の飯を食う仲間の意味だ」。この牽強付会のような理屈で、経営者と社員の一体感を強めるのが蔵人流のようだ。買収した会社のチェーン本部は例外を除いて横浜市内のコロワイド本社に集め、親会社、子会社の別なく大部屋で一緒に仕事をさせる。「意思疎通が速いし、被買収会社の社員も短期間で社風に慣れる」(前出関係者)。蔵人会長も野尻社長も部屋に来ると生え抜き、中途採用、親会社、子会社の別なく社員に声をかけて回る。実績を上げた社員は経歴に関係なく重用する。

 この社風で高まった求心力を基に不振に喘いでいた会社を再建し、成長企業に変身させる。それがコロワイドの再生モデルといえる。

課題

 もちろん、コロワイドにも課題がある。財務体質だ。

 カッパ買収にかかった総費用305億円のうち、300億円を銀行からの新規借入で賄っている。15年3月期営業利益(53億円)の約6倍分だ。連結総資産も14年3月末の1368億円から15年3月末には2043億円へ膨らんだ。M&Aの繰り返しで自己資本比率が15.3%から10.7%へ低下したためだ。この脆弱な財務体質の改善が喫緊の課題になっている。

 それはさておき、業界関係者の最大の関心事は、同社の多業態・中規模チェーン展開が単一業態・大規模チェーン展開に取って代わる新しい成長理論になるのか、同社だけの特殊理論になるのかの見極めだ。外食業界の成長が大きな分かれ道に差し掛かっている時期だけに、同社の今後が注目される。
(文=福井晋/フリーライター)

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