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雨宮寛二「新・IT革命」

グーグル、また他社を圧倒 楽曲数の多さと、優れた機能の徹底追求…音楽配信の激震

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Google play musicのHPより
 今年、日本の音楽配信市場は節目を迎えた。従来のダウンロード型からストリーミング型へと一気に潮目が変わりつつある。すでに定額制音楽配信サービスの提供を開始しているAWAやLINE MUSIC、Apple Music(アップルミュージック)に続き、今月初めには、グーグルも日本で定額制音楽配信サービス、Google play music(グーグルプレイミュージック)を開始した。

 このサービスを立ち上げるために、グーグルは2011年に日本市場での音楽配信に関するマーケティングに着手した。その後、ライセンシングなどデジタルミュージックサービスを提供できる環境を徐々に整え、最終的に200社を超えるレーベルやアグリゲーター(集積者)を集めて、一大エコシステムを築き上げるに至った。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 こうした努力が結実し、グーグルは競合企業に比べ、より多くの楽曲(3500万曲)を集めることに成功する。定額制音楽配信サービスへの楽曲提供によりアーティストなどの著作権者の収入がCDより低くなるものの、CD販売に比べ消費者へのリーチ力が高くなるとの市場原理が、レーベルとの交渉に追い風をもたらしたことも、その成功の一因であろう。

 Google Play音楽パートナーシップ担当ディレクターのサミ・ヴァルコネン氏が言及しているように、日本の音楽配信市場が潜在的に成長する可能性は高い。日本のデジタル機器の普及度は世界でもトップクラスであり、インターネットに接続するデバイスを1人当たり2.4台所有しており、全人口の50%以上がスマートフォンユーザーであるため、日本は十分にマルチデバイス環境が整っているといえる。

 その一方で、音楽市場は世界で第2位の規模でありながら、デジタルで所有する比率は17%と低い。ちなみに米国は71%、英国は45%、韓国は58%である。こうした状況から、今後の成長が十分に見込めるというわけである。

「機能」を優先


 このように、市場の成長性が見込める一方で、グーグルはグーグルプレイミュージックのサービスの仕掛けづくりにも余念がない。経営学的にいえば、顧客の選択基準が「機能」から「信頼性」「利便性」「価格」へと変化する中で、セオリー通り「機能」の充実が優先されている。すなわち、グーグルプレイミュージックの神髄として、「レコメンド」や「ストア」「ロッカー」といった機能が重装されている。

 中でも、レコメンド機能はパーソナライズされていることから、利用すればするほどユーザーの好みに合ったサービスを創出してくれる。当然この機能は、グーグルのコア・コンピタンスである検索エンジンが解析サポートしていることから、品質や信頼性の面でユーザーの効用は高いといえよう。

 今後、定額制音楽配信サービスの真打ちであるスポティファイが日本市場に参入することになれば、競争激化は必然となる。それまでに各社がどれだけのシェアを獲得できるのか。ファーストムーバーアドバンテージを制した者が、音楽ストリーミング元年の勝者となるかもしれない。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)