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小林敬幸「ビジネスのホント」

なぜ新規事業は失敗するのか?陥りやすい残念なパターン、事業計画が狂うワケ

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
なぜ新規事業は失敗するのか?陥りやすい残念なパターン、事業計画が狂うワケの画像1

 今どこの会社でも「新規事業を考えろ!」と言われている。そこで、新規事業開発課や社内横断のタスクフォースチームが立ち上げられ、創造のためのワークショップなどが行われる。会社外でも多くの人が起業塾に参加する。そこでのブレインストーミング(集団でアイデアを出し合うこと)を経て出てくる事業提案は驚くほど似たパターンが多く、実行してみると同じような失敗をしている。

 本稿では、よくある新規事業案がどうして残念な結果になるのか説明してみよう。
 

よくある事業計画

 ビジネスモデルがどういうものであれ、新規事業の事業計画というのは、図1のようなものがほとんどだ。縦軸が金額、横軸が時間(年数)とみてほしい。

なぜ新規事業は失敗するのか?陥りやすい残念なパターン、事業計画が狂うワケの画像2『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸/講談社現代新書)

・売り上げ(青線)は、開業から右肩上がり

・費用(赤線)は、固定費(減価償却費含む)+変動費(=売り上げに比例して増加する費用)

・売り上げ(青線)-費用(赤線)が、損益になる

・立ち上げ初期(左)は、費用(赤線)が売り上げ(青線)の上で単期利益は赤字、開業数年後(右)は、売り上げ(青線)が費用(赤線)の上で単期利益は黒字

・開業3年目くらいに、売り上げ(青線)が費用(赤線)の上に出て、損益分岐点を超える

・その後、売り上げ、利益とも成長していく

・マスメリットがあるとして、売り上げが増えると、利益率(=利益/売り上げ)も毎年拡大とする計画が多い。

・売り上げ(青線)と費用(赤線)に挟まれた部分の面積が開業からの累積損益

・従って、売り上げ(青線)>費用(赤線)で囲まれた部分の面積が、費用(赤線)>売り上げ(青線)で囲まれた部分の面積を超える時が累損解消。だいたい、5年目くらいに累損解消とする計画が多い。

 金額の大きさは提案によって違っているが、だいたいどの計画も図1のようなものである。

 しかし実際には、ほとんどの場合この図のようにならない。特に、次に挙げるモデルの新規事業は、かなりうまくいったケースでも別の決まった失敗パターンになりがちだ。それを次に示してみよう。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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