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雨宮寛二「新・IT革命」

低迷の一途を辿るツイッターの苦悩 危機打開狙う新サービスとは?

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「日本語版Twitter公式アカウント」より
 米ツイッターが、機能拡充の新たな試みに出た。9月15日、米モバイル決済会社のスクエアと連携して、ユーザーが米国大統領選挙など政治家候補にツイートで寄付できる機能を追加することを発表したのである。

 この機能の利用に際し、候補者は事前にスクエアに認可申請して、寄付ボタン付きのツイートやキャッシュタグを配信する権限を得なければならない。ただし、候補者はこれらの機能を無料で導入できる。これにより、ユーザーは候補者のツイートを読み、いつでもツイッターからタイムリーに寄付金を意中の候補者に送ることが可能となる。

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 今回ツイッターは、このようなデジタル政治献金機能を自社のプラットフォーム上に構築したが、重要なのは、この機能が現在のツイッターの低迷状況に新たな流れをつくり出し、一石を投じることができるか否かである。

 ツイッターといえば、今や世界で月間アクティブユーザー数が3億を超えるまでに成長したSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるが、2006年の創業以来、収益モデルの確立は常にツイッターにとっての大きな命題であった。

 これまでツイッターは、「プロモーテッド・ツイート」や「プロモーテッド・トレンド」などさまざまな広告モデルを試してきたが、どれもツイッターの収入源の大きな柱には成長しなかった。その後もツイッターは明確な収入源を持たないまま、スマートフォン(スマホ)やタブレットの普及の波に乗り、ユーザー数だけが急激に増加していくことになる。

 だが、やがてこうしたユーザー数の拡大にも徐々に陰りが見え始める。というのも、写真共有アプリのインスタグラムや写真付きメッセージアプリのスナップチャットなど、新たに魅力的なSNSが次々と誕生し、市場を席巻したからだ。今やツイッターは収益モデルを確立できないまま、明らかに低迷の一途を辿っている。

 それでは、ツイッターはこうした現在の低迷を今回の新機能で打破することができるのか。

 ツイッターの広報担当者が「同社が寄付金の一部を受け取ることはないが、1回の決済につきスクエアの規定手数料の1.9%が差し引かれる」と述べているように、ツイッターはこの新機能で自社に収入が入らないビジネスモデルを採用した。

 このように考えると、どうやら今回のデジタル政治献金機能は収益モデルの構築を狙いとしたものではなく、さらなるユーザー数の拡大を図る呼び水であると理解できよう。

 スクエアとの連携により満を持して構築したこのデジタル政治献金機能は、果たして低迷するツイッターの救世主となりうるのであろうか。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)