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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

驚異の絶好調!ネスレ、「ジャパン・ミラクル」を起こした「唯我独尊」経営?

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 以前に本連載記事『米国で日本企業が標的に…日本ガイシ談合で巨額罰金 前社長らに禁錮刑の可能性も』でも述べたが、私は業界団体というのはある時は談合の温床となり、またある時は有力会員を独走させないための圧力醸成の場となっていると見ている。足を引っ張る、と言ってもいい。いずれにせよ公正取引を阻む性格が、日本の業界団体のいくつかに見られるのは残念なことだ。ネスレ日本の脱退決断を支持したい。

バリスタとネスカフェ アンバサダーに注力

 Placeとは、どこで売るか、つまり流通経路のことだ。ネスレ日本は、缶コーヒーからも15年3月に撤退してしまった。自動販売機では大塚食品を通じて販売していたが撤退し、コンビニエンスストアでの缶コーヒー事業からも撤退した。セブンイレブンが「セブンカフェ」を始めるときも、コーヒー豆の提供の要請をあえて断ったと高岡社長は明かしている。まさに、「我が道を行く」マーケティングである。

 これらのルートを閉じ、同社が直接消費者にコーヒーを届けようとする施策がユニークだ。

 まず、家庭用コーヒー・マシーンである「ネスカフェ バリスタ」。これでレギュラーソリュブルを淹れてもらう。1杯当たりの価格は概算20円だそうだ。

「バリスタ自体は、当初1万5000円で売り出したらまったく売れなかった。価格を試行錯誤して、現在は9260円(メーカー希望小売価格)として(販売は)順調。累計で270万台出ている」(ネスレ日本広報室による)

 また、コーヒー・カプセルを使う新世代機「ネスカフェ ドルチェ グスト」は、現在までに160万台出回った、ともしている(同)。

 オフィスでネスカフェを楽しんでもらおうというのが「ネスカフェ アンバサダー」。これは製品名ではなく、制度でありビジネスモデルだ。ネスレ日本ではマシンを1台無料でオフィスに貸与し、管理してもらう。アンバサダーになった社員は、自身のクレジットカードなどでコーヒーを同社サイトから購入する。1杯当たり20円で、コーヒーを飲む社員が横に置かれた箱に20円を入れてもらうことで回収する。20円以上とする場合もあるのだろう。これで社員が安くコーヒーを飲め、アンバサダーは幸せな気分になれるのだそうだ。アンバサダーはすでに18万件以上の申し込みがされているとのことだ。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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