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ホワイトカラーの職は消えていく 有名大学を出ても無意味な時代に

構成=編集部

–人工知能ができる分野で仕事をするのではなく、人工知能を使いこなす能力が必要になってきますね。

茂木 使いこなすことに加え、人工知能は何ができるのかを冷静に見極められる能力が必要ですね。例えば入社面接において、従来は人事担当者が過去の経験に基づいて人選してきました。体育会系の人や企業経験のある人といった視点でバランスを取りながら採用していたと思います。それは典型的なパターン認識、判別問題であり、人間よりも人工知能のほうがうまくできると思います。

 また、不動産の査定で、従来は不動産鑑定士や宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者)が経験に基づいて価格を決めていましたが、そのようなことは人工知能のほうが的確に、よりよくできます。

 つまり、人間、モノ、サービスを認識、パターン化、数値化して評価する仕事に現在は多くの人が従事していますが、間違いなく人工知能のほうが適しています。したがって、それらは近い将来置き換えられていくでしょう。

 自動車の自動運転が実用化されるのも、想定より早くなるでしょう。そうすると、タクシーの運転手も消えていくかもしれません。

人工知能ができないこと

–逆に人工知能ができない分野の仕事に人手が集中することになりますね。

茂木 人工知能は、感覚的なことができません。例えば、おいしい、楽しい、心地よいという感覚を感動に換えるといったことはできません。また、非典型的事例の判断も苦手です。膨大なデータをカテゴリー別にソートすることはできますが、ビッグデータに至らぬ少数事例に基づく判断などはできません。人工知能は、データの蓄積がなければ何も判断ができません。対して人間は、さまざまな角度から見て直感で判断することができます。

–人間は、直感力を磨いていくことも重要になってきますね。

茂木 それ以外に人間が生きる道はないでしょう。

–本書の中でも人工知能に負けないスキルの磨き方について言及していますが、ビジネスパーソンとして磨かなければならないスキルはどのようなものでしょうか。

茂木 「ロボットは東京大学に入れるか」プロジェクトを指揮する国立情報学研究所の数学者・新井紀子氏から衝撃的な話を聞きました。同プロジェクトで開発を続けている「東ロボ君」は、東大の入試に受からないのではないかというのです。東ロボ君は、私立大学のトップといわれる早稲田大学政治経済学部の問題は完璧に解けるけれども、東大は無理なのだそうです。早大の入試は、非常に細かい質問事項ではあるけれど、結局は穴埋め問題であり、人工知能が得意とするところなのです。つまり、チャート式で答えにたどり着ける問題は、確実に人工知能は解けます。しかし、数学オリンピックで出題される問題はまったく解けないそうです。

 ここからわかるのは、業務でも繰り返していくことで身につくもの、ルーティーンワークなどは人工知能ができてしまいます。東ロボ君は全国の大学入試の7割に受かるそうです。つまり、それらの大学に入るために必要なスキルは、すでに人工知能は備えているわけで、裏を返せば今後は人間にとって不要になってくるものといえます。

『人工知能に負けない脳 -人間らしく働き続ける5つのスキル-』 “脳力”を高める、マインドを変える。これからの時代にもっと輝く働き方 amazon_associate_logo.jpg

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