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あの大企業の子会社、派遣社員の時給半分をピンハネ&解雇!違法雇用の横行許す裁判官!

文=北健一/ジャーナリスト
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 DNPファインは、朝礼、業務指示はもちろん、偽装請負で使っていた労働者のスキルを5段階で評価し、ファイン社員・偽装請負労働者混成の班を編成し、有給休暇を許可し、QCサークルにも参加させていた(いずれも判決の認定)。契約書ではなく実態を見る限り、DNPファインが橋場さんらの事実上の雇用主であったことは明らかだ。

矛盾する判決

 ところが判決は、募集・採用業務をユニがやっていたこと、ユニとDNPファイン、DNPミクロは別会社であり、ユニはファインやミクロに労働者を送るために設立されたわけではないこと、橋場さんらに対するリーマンショック後の整理解雇は「ユニ独自の人事に関する判断」だったことなどを挙げ、DNPファインと橋場さんとの雇用関係を否定した。

 だが、この評価は説得的ではない。

 ユニは橋場さんらを労働者供給していた当時、ほぼDNPファイン向け専門の人出し業となっていた。リーマンショック後の解雇も、DNPファインがDNPミクロとの、DNPミクロがユニとの契約を切ると通告し、「下」の業者はいいなりに応じ「独自の判断」の形跡すらなく橋場さんらを切った。

 判決は労基法6条違反の中間搾取を認定しながら、「ミクロにおける人員募集や雇用管理等の経費も含めての金額であった」などと根拠もなく「推認」して違法ピンハネ業者をかばっている。DNPファインが1時間あたりの委託労務単価2100円で出した仕事を、DNPミクロは1500円でユニにおろし、ユニは橋場さんらに1060円しか払っていなかったにもかかわらず、このピンハネを橋場さんの損害とは認めなかった。

 その結果、判決はDNPファインとDNPミクロ、ユニという会社は違法な中間搾取をして稼いだが、その違法収益は全部そのまま会社がもらって構わず、違法な搾取を受け突然クビになった労働者は何の救済も受けられない、という結論を導いた。これは、「泥棒は違法だが泥棒委託契約は契約として有効であり、泥棒するにもあれこれ費用がかかるのだから、何も被害者に返す必要はない」というのと変わらない。あまりに非常識ではないか。

偽装工作

 DNPファインはDNPミクロに、DNPミクロはユニに「人出し」を頼んでいる。みかけはともかく、実質において寄せ場の手配師と変わらない。少なくともDNPファインとDNPミクロ側には、こうしたやり方がヤバいという認識があったのだろう。人出し単価を「時給」で設定しながら、発注書上はそのことを隠し、払うべき金額(時給単価×就労時間)を1パネルあたり85円の数量単価で割り戻し、「割り戻した数量分のパネルを発注したかのような外観にしていた」(判決)。違法な偽装請負・中間搾取を隠すための「偽装工作」と考えられる。

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