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「雇用情勢は絶好調」はまやかし?地方では悪化や不況の兆候 トヨタのお膝元でも異変

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 特に減り方が激しいのは岡崎、豊橋、掛川だった。2月から8月にかけてプラスになったところも、刈谷は0.04ポイント、豊川は0.01ポイント増えたにすぎない。
 
 なお、雇用統計については、有効求人倍率よりも「新規求人倍率」の増減を重視すべきだという意見がある。ハローワークの求人には、待遇条件の悪さなどで求職者に敬遠され、何カ月も繰り越されて棚ざらしになっているものがあるからだ。それよりも新規求人倍率を見れば、その地域の産業全体の「人を採りたい」という本気度がより正確にわかり、景気が悪化すればその影響がいち早く出るといわれている。

【愛知県三河地方、静岡県遠州地方の地域別新規求人倍率の推移(15年2月→8月)】

※左が2月、右が8月の数値

西三河  2.00   2.18
(岡崎、豊田、刈谷、西尾)
東三河  2.11   1.95
(豊橋、豊川、新城)
遠州   1.75   1.91
(静岡西部/掛川、磐田、浜松、細江、浜北)
(出典:愛知労働局、静岡労働局の統計資料より/パート含む常用)

 愛知県全体では伸びている中で東三河地域の減少が目立ち、ここは東海地方全体の雇用悪化の震源地になるかもしれない。西三河と遠州は新規が伸びているが有効求人倍率が低下しているので、求人増の流れが途切れればアッと言う間に雇用情勢が悪化してしまう危うさを秘めている。「新規求人倍率が伸びているから大丈夫」とはいえない。

 一般的に、自動車関連のような製造業は正規雇用の比率が大きいので、その賃金水準はパート・アルバイトの比率が大きい小売業やサービス業に比べると高め。そのため愛知県の三河地方や静岡県の遠州地方で自動車関連の雇用が減ると、個人消費もふるわなくなり、小売業、サービス業も含めた地域経済にも悪影響が及ぶ。仕事を求めて労働力が名古屋市や南関東など他の地域に流出してしまうと、地域経済はいっそう落ち込む。有効求人倍率の低下は、そこが日本の自動車産業の中心地だからこそ、今後の景気の行方を占う上で決して軽視できない現象だ。

北米で無敵の強さをみせるスバルの「企業城下町」、群馬県の太田も不振

 いま、自動車業界で一番元気な会社はどこか? たいていの人はスバル(富士重工業)と答えるだろう。SUVは北米市場では売り切れ続出の人気で、決算は絶好調だ。海外生産比率は22.5%で大手の中ではまだ小さく、14年度の世界生産台数の約6割は日本で生産され、海外に輸出されている。

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