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「雇用情勢は絶好調」はまやかし?地方では悪化や不況の兆候 トヨタのお膝元でも異変

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 そのスバル車の開発・生産の本拠地といえば、群馬県の太田市。その周辺の自動車関連の企業は活況に沸き、人手不足で雇用情勢は有効求人倍率が2倍近くの水準で高止まりしている。かと思いきや、なんと7月まで4カ月間も1倍割れしていた。

【群馬県・ハローワーク太田の有効求人倍率、新規求人倍率の推移(15年1~8月)】

※以下、左が有効求人倍率、右が新規求人倍率

1月    1.11      1.53
2月    1.12      1.49
3月    1.06      1.36
4月    0.92      0.96
5月    0.90      1.26
6月    0.87      1.33
7月    0.96      1.62
8月    1.04      1.54
(出典:群馬労働局の統計資料より/パートを含む常用)

 8月の群馬県全体の有効求人倍率は1.28で全国平均の1.23より高かったが、太田は、かつて多くの日系ブラジル人を呼び寄せたほど労働力不足に悩んでいた地区でありながら、今年はずっと低調が続く。新規求人倍率の数字も三河・遠州地方より悪い。決算が絶好調で国内生産比率の高いスバルですら、その地元の雇用は冷え込んでいるのだ。

 もちろん、自動車関連の雇用が依然好調な地域もある。トヨタが12年に関連会社を統合してトヨタ自動車東日本を設立し、東日本の小型車生産拠点を集約した宮城県大衡村では、今なお生産規模の拡大が続いている。地元の雇用創出への期待は非常に大きく、宮城労働局はわざわざ隣の大和町にハローワークの出張所を開設しているほどだ。その大和出張所の有効求人倍率は今年1月からコンスタントに1.5以上をマークして8月は1.76。新規求人倍率は3、4月以外は2倍を超え、8月は3.01で今年最高だった。宮城県の仙台市と大崎市の中間に位置する黒川郡はいま、自動車産業の「ブームタウン(急成長する町)」になっている。

シャープの業績がおかしくなったら、三重県・伊賀地方の有効求人倍率激減

 自動車と並ぶ日本のもうひとつの基幹産業、エレクトロニクス産業で今年の最大の話題といえば、シャープの業績不振と東芝の不適切会計問題だろう。そのシャープに良くも悪くも関係が深い地域として、「忍者の里」で知られる三重県・伊賀地方がある。

 西隣の奈良県にはシャープの総合開発センター(天理市)と、天理、葛城、大和郡山の各市に製造拠点がある。東隣の三重県・伊勢地方は亀山市と多気町にシャープの大きな製造拠点がある。伊賀地方は中間に位置し、無料だがほぼ高速道路規格の名阪国道(国道25号線/天理市~亀山市)でつながっている。液晶テレビの「亀山ブランド」が生まれた亀山市へはクルマで1時間弱の距離だ。そのため伊賀地方にはシャープと取引している製造業やその下請けなど関連のある企業が数多く存在し、シャープの業績が悪化したら地域全体がその影響を受ける。

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