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大西睦子「ボストン健康通信」

結局、朝食は食べるべきor抜くべき問題の答え!抜くと肥満予防?病気リスク増?

文=大西睦子/内科医師、医学博士
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 ちなみに、イタリアでの朝ごはんはエスプレッソのみ、あるいは少しパンを食べるだけで夕食も軽くすませるため、昼食が1日で一番大切な食事です。

 ところが、現在彼女の通う米国の高校は、昼食時間は30分間です。彼女は、米国でのライフスタイルの違いに驚いています。米国の高校生活では、昼食に時間はかけられないので朝ごはんを食べておかないといけません。スウェーデンの報告は、米国や日本でのライフスタイルでは、実生活に適応することは難しいでしょう。つまり、朝ごはんの必要性は、社会的、文化的な背景も考慮しなければなりません。

 また、朝ごはんのさまざまな利点が示されていても、間違ったメニューを選ぶと、かえって健康に害を与えます。先ほどの地中海式ダイエットは、野菜や果物、ナッツ類、豆類、未精製穀物をふんだんに取り入れ、乳製品や肉類は控えめに適度の魚を摂取し、飽和脂肪酸を避けオリーブ油を利用するヘルシーな食事の代表です。

 一方、米国人の典型的な朝ごはんは、デザートやスナック菓子のようになってきました。メープルシロップ付きのパンケーキ、砂糖をまぶしたシリアル、ベーグル、マフィン、異性化糖入りのオレンジジュースです。一般に、米国人の朝ごはんは、砂糖のとりすぎです。日本でも、菓子パンやスナックを朝ごはんの代用にしている方もいると思います。

注意すべきは栄養素、内容と質

 結局、朝ごはんは、食べるべきでしょうか?

 ここまでの研究の結果や文化の違いから考えると、簡単な答えはないようです。性別、年齢、身体活動や仕事、病気などによっても、1日に必要なカロリーはまったく違いますし、ライフスタイルによっても、食事のタイミングは変わってきますよね。ですから、それぞれ個人が、カロリーと体重をコントロールする自分に合った方法を見つけるべきだと思います。

 もし、今の体重や健康状態に満足されて、1日の始まりを快適に過ごされているのなら、朝ごはんをとる人もとらない人も、今のライフスタイルを無理矢理変える必要はないと思います。太りすぎや疲れ、イライラや抑うつなどを感じる方は、ぜひ1日の始まりの習慣を変えてみてください。

 重要な点は、カロリーは食事の全体量の目安として用いる程度にしておいて、栄養素、内容と質に注意すべきことです。また、適度な運動は欠かせません。ダイエットの長期的な目標は、健康的な食生活を楽しみ、生活習慣病などのリスクを減らして、イキイキと人生を送ることですから。
(文=大西睦子/内科医師、医学博士)

大西睦子/内科医師、医学博士

大西睦子/内科医師、医学博士

内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。

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