ビジネスジャーナル > ライフニュース > 虫歯・歯周病が万病の原因?  > 2ページ目
NEW
蒲谷茂「自分のからだは自分で守る」

危険な虫歯や口内感染症が、心筋梗塞や脳卒中など万病の原因?歯周病がアルツハイマー病を起こす?

文=蒲谷茂/医療ジャーナリスト

どぶの中で治療

 虫歯にしても歯周病にしても、虫歯菌や歯周病菌による感染症なのに、「除菌しましょう」「殺菌しましょう」などと歯科医からいわれたことがあるだろうか。医科では、細菌の感染に関して、殺菌だけでなく抗菌、除菌などの対策がとられているのに、歯科の世界でそれがあまり行われていない。

 口腔の細菌に注目している歯科医の中には、虫歯菌、歯周病菌がどのくらいいるのか、それを調べないで治療をするのは「どぶの中で治療しているようなもの」だと主張する人もいる。患者に対し、治療の前に口の中をきれいにしてからでないと虫歯の治療をしないという歯科医もいる。歯が虫歯に侵されているなら、それだけ虫歯菌が口中にいるという証拠である。プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング(PMTC)という、歯科衛生士がおもに行う歯のクリーンニング法があるが、これを行い、さらに正しい歯磨き法によって虫歯菌を減らしてから治療をするのだ。

 患者からすぐに治療してくれないというクレームがくるが、感染症であることを説明し、理解を求める。しかし、こうした歯科医はまだまだ少ない。

口の中の細菌を調べることが重要

 ところで、「虫歯菌、歯周病菌を歯科医で調べてくれるのか」と疑問を持たれそうだが、すでに虫歯菌、歯周病菌がどのくらいいるのかをチェックするキットがあり、使っている歯科医も出てきている。ちなみに保険が効かないので、患者の全額自己負担となる。

 医科では、血液検査をはじめさまざまな検査が行われる。より正確な診断を行うためだが、歯科ではレントゲンという画像診断は行うが、血液検査に相当するような検査は行われてこなかった。歯科において、血液検査に相当するのは唾液検査である。唾液検査は、虫歯菌などの細菌の量、唾液の量、pHなどがわかる。虫歯や歯周病にかかるリスクが確認できる。さらに、虫歯菌などの除菌の成果を知ることができる。歯科においても、口の中の細菌の量がわかる検査が進むことが望まれる。これが一般に行われるようになれば、保険適用の道も開けていくだろう。

 筆者は『歯は磨くだけでいいのか』(文春新書)を上梓した際、読者の方々からいい歯医者さんを紹介してほしいといわれたが、先ほど紹介したPMTCをルーティンにしていること、できれば検査を取り入れていること、感染症の対策をしているところ(治療が個室であるなど)をあげて、まずそれを確かめることをお勧めしている。ぜひ参考にしてください。
(文=蒲谷茂/医療ジャーナリスト)

蒲谷茂

蒲谷茂

医療ジャーナリスト。1949年生まれ。立教大学卒業後、健康雑誌『壮快』の編集にかかわり、8年後に独立。多くの医療・健康に関する雑誌の編集・執筆、テレビ番組の企画・制作にも携わる。95年『大丈夫』(小学館発行の健康雑誌)の創刊編集長に就任。その後、30年以上にわたる経験や人脈を生かし、自分のからだは自分で守るための情報を発信し続けている。著書は、『民間療法のウソとホント』『歯は磨くだけでいいのか』(共に文春新書)、『測るだけで大丈夫』(八重洲出版)、『死に至る病・チェックブック』『自宅で死にたい』(共にバジリコ)などがある。現在、八ヶ岳南麓に住み、エフエム八ヶ岳のパーソナリティもつとめている。

危険な虫歯や口内感染症が、心筋梗塞や脳卒中など万病の原因?歯周病がアルツハイマー病を起こす?のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

RANKING

5:30更新
  • ライフ
  • ビジネス
  • 総合