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雨宮寛二「新・IT革命」

アップル、「ヒトとコンピュータの融合」計画を本格始動

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アップルのロゴ
 米アップルが、最近たて続けにAI(人工知能)関連のスタートアップを買収した―――。

 買収したのは、英VocalIQと米Perceptioの2社で、いずれもAIを活用した音声認識技術や画像認識技術に優れた企業である。アップルは、これらの技術を自社に取り入れてパーソナルアシスタント「Siri」を始めとする一連の自然言語処理能力の性能向上を独自に図る狙いである。

 パーソナルアシスタントといえば、アップルが開発を進めるSiriのほかに、米グーグルの「Google Now」や米マイクロソフトの「Cortana」など競合が多く存在するが、先陣を切ってリリースしたのはアップルである。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 2011年にスマートフォンiPhone 4Sの標準装備により、Siriがサービス開始に至ると、12年にはグーグルが、さらに14年にはマイクロソフトが追随してサービスを開始した。

 その後、アップルはiOSの改良・改善を図りながらSiriの性能を向上させていくが、ユーザーの意向を先回りして、ユーザーが期待する情報を表示してくれる機能開発の面で、グーグルの後塵を拝することになる。

 グーグルはGoogle NowにMachine Learning(機械学習)の技術を早々と取り入れて、アンドロイド端末内のスケジュールや位置などに関する複数のデータを連携させ、ユーザーがいかなる情報を必要とするかを予測した上で提示する機能の向上を図ってきた。実際Android 6.0 Marshmallowには、最新の機能として「Now on tap」が搭載されている。

競合とは異なる点


 アップルもiOS 9への「Proactive Assistant」の搭載により、ユーザーに必要な情報を予測して提示する機能を提供することでグーグルに対抗するが、グーグルの「Now on tap」とは、データを連携させるアプローチの面で大きく異なる。

 アップルのソフトウェアエンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ副社長が今年のWWDC (アップルが毎年開催する開発者向けのイベント)で言及しているように、Proactive Assistant ではApple IDなどの個人データとは一切リンクさせないで、予測情報を提示するアプローチをアップルは採っている。

 すなわち、ユーザーが入力したデータを収集してビッグデータとして解析し、ユーザーに必要な情報を予測して提示するというプロセスは競合と同じであるが、収集するデータには個人情報が含まれず、新機能のために使うデータは匿名化されるという点で競合とは異なるというわけである。