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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

商品が売れない原因はこれ!他社を圧倒する差別化、放っておいても売れる商品とは

文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 しかし、「お客様が買う理由」を考え抜くだけでは必ずしも売れない。リアルなお客様での検証が必要になる。そして、当初考えた(1)~(4)のいずれの仮説が間違っていたのかを順番に検証し修正していけば、「お客様が買う理由」に近づくことができる。その結果、売れていく。

「結局、『地道にやれ』ということか」と言いたくなる気持ちも、よくわかる。「お客様が買う理由」をつくるのは、地道な作業の積み重ねだからだ。もっと手っ取り早い方法を求めたくもなるだろう。しかし「お客様が買う理由」を考え抜くことは、売れる商品をつくる王道だ。そしてお客様や市場、技術の変化が激しい今の時代は、必須条件でもあるのだ。

 たとえば冒頭のケースでは、なぜ営業がなかなか動いてくれないのだろうか。

 営業は、自社が開発したさまざまな商品を売るのが仕事だ。同じ売るなら、お客さんが欲しがる、売りやすい自社商品を売りたくなるのは、営業にとって当然のことだ。その商品が、お客様が思わず買いたくなるような強い「お客様が買う理由」があれば、放っておいても営業はその自社商品を売ろうとする。さらに営業ならではの色々な知恵を出して、より多く売ろうとする。

 この新商品を営業が売ろうとしない理由は、この営業が動きたくなるような「お客様が買う理由」がないからだ。自社の強みを徹底的に考えていないので、新商品で最も大切な、ライバルとの差別化ポイントが不明確。そのためお客様に売れる以前に、自社の営業を説得できない。だから売れない。つまり戦略不在なのだ。

 本来「お客様が買う理由」は、新商品開発チームと営業がチームを組んで対話を続け、商品開発段階から一緒に考えて、つくり上げることが必要だ。しかしこのケースでは、そのようなチームワークをつくることをせず、対話もせず、開発部門から営業部門へ一方的に要求しているだけだ。そして営業部門が具体的にどうすべきか提案もせず、営業部門が変わらないことを嘆き続けている。

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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