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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

不正がますます発覚しやすく「割に合わない」時代に 利益&金銭報酬優先の致命的欠陥

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フォルクスワーゲン本社工場(「Wikipedia」より/AndreasPraefcke)
 東芝の不適切会計が世間を騒がせたかと思ったら、今度は独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題が明るみに出た。VWの場合、ディーゼル車の排ガス試験のときだけ排ガス量を少なくするソフトを搭載していたというのだから、随分と手の込んだ不正をやったものだ。

 VWの一件で、「ドイツ人って、そんなことする国民だったの?」と思った方も少なくないだろう。我々日本人にとって、「ドイツ製」とか「ドイツ車」という言葉は「信頼性」という言葉を連想させるブランド力があっただけに、今回の一件はVWという一企業にとどまらず、ドイツという国そのもののイメージを失墜させてしまった。実際、当局はメルセデスやBMWにまで疑いの目を向けている。

非正直者はリスクが高すぎる


 昔から「正直者はバカを見る」といわれるが、東芝やVWの件を見て思うことは、バカを見るのはやはり非正直者だということだ。しかも、バカの見方が半端じゃない。VWの場合、たった1回の不祥事で会社の存続を危うくしたのみならず、ドイツ製品すべての信頼性を損ねてしまった。経営幹部の法的責任は免れないだろう。場合によっては、EUの盟主といわれるドイツの政治的立場も弱くしてしまうかもしれない。

 今日、非正直者はますますバカを見やすくなっている。それは世の中、センサーだらけになっており、非正直者が見つかりやすくなっているからだ。防犯カメラ、GPS、ICチップなどによって、人やモノの動きは相当程度把握されている。多くの人が持ち歩いているスマートフォンはセンサーの塊だ。電子マネーなどによってキャッシュレスが加速し、領収書も電子化されれば、お金の動きもほとんどトレースできるようになるだろう。それらがマイナンバーと結び付いて、クラウドの中で社会的に管理されるのである。しかも、SNSの普及によって、誰もが容易に情報発信することが可能になっている。匿名でチクることも格段に容易になっているということである。

 それでも不正が見つからないことも当然あるだろう。しかし、発覚したときのリスクが高すぎる。発覚する可能性がますます高まっていくことを考えると、あまりにも割に合わない。

共感が購買行動につながる


 VWが会社として存続できたとしても、少なくとも当面は販売が相当落ち込むだろう。スイスなどの一部の国ではVW車の一部車両の販売中止を決めたが、そのような国家的な制限がなくても、VW車を買う人はかなり減少すると思われる。