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『エベレスト 3D』が”体感”させる極限状態ーー圧倒的リアリズムの背景を読む

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【リアルサウンドより】

 天を刺す険峻な峰が連なるヒマラヤ山脈に、ひときわ高くそびえ立つ、約8,850mの世界最高峰・エベレスト。本作『エベレスト 3D』(原題:"Everest")は、上映形式が強調された邦題の響きから、この山の美しいネイチャー映像を楽しむ作品だという印象を持ってしまうが、実際は、1996年に起こった遭難事故を基にした、陰惨な実話の映画化作品だった。地球上で最も標高が高い場所であるエベレスト山頂への、登山チームの過酷な登頂と遭難を、ここでは、意外なほど現実的なタッチで克明に、そして深刻に描いていて驚かされる。見ているこちらも、登山者たちと同じように息苦しくなってくるほどだ。

 もちろん本作では、エベレストならではの絶景の美しさが際立っているのは確かだし、特撮やCG技術などの駆使によって、通常ではあり得ない角度からの、今までになかった映像表現がスペクタルとして描写されてはいるものの、作品全体では、実際の登山者が直面するだろう体験や意外な事実などを、けして派手な演出を使わず、ドキュメンタリー風に地道に描いていくのだ。登頂の苦難や遭難の恐怖を描いた映画は少なくないが、本作のストイックさは、ハリウッドの商業作品としてはさすがに地味だとも感じさせる。だが、この演出だからこそ表現できる世界がある。今回は、このリアリズムの裏に隠された本作の意図や背景について探っていきたい。

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