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日米vs.急速に親中国化する欧州&中国の対立が先鋭化 なぜ人民元が国際通貨化?

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「Thinkstock」より
 中国人民元が、IMF(国際通貨基金)の特別引き出し権(SDR:Special Drawing Rights)に採用される見込みだという。人民元の採用については、日米が慎重な姿勢を取る一方、ドイツや英国などが積極的に支持する構図になっている。

 もともとIMF自身は、国際化のさらなる進展のために人民元採用に前向きだった。そこに、欧州諸国が中国に歩み寄る姿勢を鮮明化していることが重要な支援材料になっている。実際に、11月のIMF会議で採用が決まると、人民元は名実ともに国際通貨としての地位を確立できる。中国にとって、人民元が有力な国際通貨としてのお墨付きを受ける意味は大きい。

 IMFは、国際金融や為替の安定性を維持するために創設された国際機関だ。それぞれの加盟国は予めIMFに資金を拠出し、その出資比率に応じて必要な時に資金を借りる権利を持つ。SDRは借り入れを受ける権利のことであり、また、借り入れを受ける時の資金の単位でもある。現在、SDRの価値を算出するときに採用されている通貨は、ドル・ユーロ・ポンド・円の4通貨であり、これらの通貨を加重平均するバスケット方式によってSDRの価値を算定する仕組みになっている。今後、通貨バスケットの中に人民元が入ることになりそうだ。

今でも政府管理通貨である人民元

 
 中国が採用を積極的に働きかけ、ドイツや英国などが積極的に支援するスタンスを示すバスケット採用通貨については、IMFの明確な基準が存在する。ひとつは、加盟国が発行する通貨の中で過去5年間で財・サービスの輸出額が最も多いこと。もうひとつは、自由に売買が可能な「自由利用可能通貨」であることだ。その基準に基づいて、5年毎に見直しされることになっている。今年は見直し年に当たる。

 2つの基準に照らして人民元を考えると、まず1つ目の基準については問題ない。近年の中国の輸出額をみると、その基準をクリアしていることは明らかだ。

 しかし、2つ目の基準については重大な問題がある。人民元は厳格に政府によって管理されており、必ずしも自由に取引が可能とはいえない。現在の人民元の取引は、中国本土内の取引=オンショア人民元(CNY)市場と、香港中心の中国本土外の取引=オフショア人民元(CNH)市場とに分かれている。中国本土内での取引は、中国人民銀行による強い管理体制の下で行なわれており、実際の為替レートは事実上、人民銀行が決める水準に限られる。現在では、人民元のレートは基本的にドルとほぼ連動している。そのため、人民元がドルと厳格に固定されているわけではなく、緩やかなドル連動制=ソフトドルペッグ制と呼ばれている。