ビジネスジャーナル > 企業ニュース > サッポロ、サントリーが危ない!  > 2ページ目
NEW

サッポロ、サントリーが危ない!日本のビール業界、巨大海外勢の草刈り場に?

文=編集部
【この記事のキーワード】, , ,

 キリンHDの業績不振の一因は、ブラジルキリンの低迷にあった。買収は明らかに失敗だった。そこで、再びアジアに回帰してミャンマーのビールメーカーを買収したわけだ。

 アフリカ市場を手に入れたABインベブが次に狙うのは空白地のアジア市場である。だからアジアにネットワークを持つ日系メーカーは標的になり得る。

外資が狙うサッポロとサントリーのビール事業

 東南アジアが世界大手の空白地になっていたのは、酒類事業で外資の参入規制があり、世界大手といえども単独で開拓するのが難しかったからである。

 日本市場もしかりで、酒税の複雑な仕組みが外資にとって参入障壁となっていた。政府・与党はビール、発泡酒、第3のビールの酒税の一本化に向けて検討を始めた。酒税が改正されれば外資も参入しやすくなる。最も手っ取り早いのは、日本の大手4社のいずれかを買収することだ。

 M&A(買収、合併)候補の一番手は、国内ビール第4位のサッポロHDだ。これは誰もが予想する選択肢だ。大穴は国内ビール3位のサントリーHDのビール事業だろう。サントリーHDは中国のビール2位の青島ビール(山東省)との合弁を解消する。両社は13年、生産と販売を担う合弁会社2社を設立して折半出資した。サントリーHDは2社合計で180億円出資している。青島ビールは156億円で合弁会社の株式を買い戻す。

 なぜ、サントリーHDは中国のビール事業から撤退するのか。サントリーHDは14年、米ウイスキー大手、ビーム(現ビームサントリー)を1兆6500億円で買収して完全子会社にした。その時新浪剛史社長は「2020年にはウイスキーで世界一を目指す」とぶち上げた。世界の蒸留酒市場で首位の英ディアジオに追いつき、追い越すと宣言したのである。ディアジオは「ジョニーウォーカー」「ギネス」などを持っている。

 ディアジオを追撃するためには、ビーム買収で膨れた借金を減らし新たな買収資金をつくらねばならない。ビール事業を売却して借金を減らすと同時に軍資金をつくることも、事業の「選択と集中」の考え方をするなら可能性はゼロではない。

 ABインベブ=SABミラー連合の誕生は、日本勢の海外進出の好機という見方もある。両社の合併には、主要国の独占禁止当局の審査・認可が必要になるからだ。両社のシェアがあまりに高くなるので米国や中国の一部の資産の売却を余儀なくされるという観測がある。やや楽観的な見方だが、海外進出が遅れている日本のビールメーカーには、千載一遇のM&Aのチャンスとなり得る。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

サッポロ、サントリーが危ない!日本のビール業界、巨大海外勢の草刈り場に?のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!