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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

国家的会議で3百名の錚々たる学者を「ザワつかせた」女子高生の鋭すぎる質問とは?

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー

リーダーに求められる資質とは

 このシンポジウムは極めて専門性の高い内容で、筆者もさすがに退屈してしまい「参加しなくても良かったかな」と思っていたが、女子高生の鋭い質問を聞くことができて、参加して良かったとつくづく思った。この女子高生の質問から、2つのことを学ぶことができたからだ。

 ひとつは、純粋な質問にこそ物事の本質があるということ。もうひとつは、未知のものに挑戦する夢に対し、リーダーは毅然とした態度で責任を持って可能性を語らなければならないということだ。

 女子高生には、「夢のようなことをどうやって実現できるの? 答えのないものをどうやって見つけるの?」という無垢な興味もあっただろう。答えのある学校教育では想像もできない世界である。

 答えのない世界で答えを出すことによって人類は進歩してきた、という事実を知る絶好のチャンスだったが、プロジェクトリーダーはそれを表現することができず“言葉によるごまかし”をしてしまった。女子高生は落胆したに違いない。大人でも「このプロジェクトは、そもそも予算ありきの政府プロジェクトなのか」と勘ぐりたくもなる答え方だった。

 どんな組織のリーダーであっても、夢を語り可能性を示さなければ人はついていかない。国家プロジェクトであっても、強いリーダーがいなくては成功が確約されるわけではない。予算ありきのプロジェクトになれば、計画を白紙撤回した新国立競技場のようなことが起こりかねない。

 これは会社組織でも同じである。売り上げ目標ありきの経営を行えば、人は疲弊し、ひいては数字のごまかしに発展しかねない。それは東芝の不適切会計の例を見るまでもない。

 人は数字で動くのではなく、夢や可能性に対して動こうとするものである。そうして未知の答えを発見し、発展していくものである。そこを見失ってはいけない。今の日本には、本末転倒してしまった組織が多すぎる。

 シンポジウムで見つけた唯一の希望は、そうそうたる“偉い”大人たちを前にして、勇気を持って本質的な質問を投げかけた女子高生だった。まだこの国には可能性が残っている――。そう思わせてくれた出来事だった。
(文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー)

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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