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「昨年の『上海福喜食品』による使用期限切れ肉事件など、中国ではここ数年、食の安全に関する不祥事が絶えず、食への不信感が強まっています。若い世代ほど問題意識に敏感なので、そこにビジネスチャンスを見いだし、安全の代名詞ともいえる有機農業にこだわっているのでしょう。都市部で暮らす年配世代にとって農業は文化大革命のころの『下放』のイメージが強く、起業の対象とはなりにくい分野でしたが、当時を知らない世代にとっては、ある意味新しいビジネスなのです」
有機栽培とうたうだけで、スーパーマーケットなどでは普通の野菜の3倍以上の価格で販売されている。しかも、それをネットで直売できれば、高い利益率を期待できる。しかし有機農業には危うさも潜んでいる。日本で有機肥料の偽装が大きな問題となっているように、中国でも有機栽培の信憑性には疑念があると、中国の農業事業に詳しい日系食品商社の幹部は指摘する。
「有機栽培のためには土壌の改良に3年が必要で、一朝一夕にはできません。それに広大な中国では、自分の畑だけ土壌を改良しても、隣の畑から汚染物質が流れてくる可能性もあります。いまやたくさんのスーパーが有機野菜を扱っていますが、それらのすべてが有機栽培の条件を満たしているのかは疑問です」
熱意だけ先行して実態が伴わないような状況ではないことを切に願う。
(取材・文=中山介石)
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