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舘内端「クルマの危機と未来」

クルマのカタログ燃費と実燃費の大きな乖離は、いい加減に解消されるべきである

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「フォルクスワーゲン グループ ジャパンHP」より
 カタログ燃費にくらべて一般的に実燃費は2割から3割悪い。これは実走行では排出ガスもカタログ値よりも多いということだ。こうしたところに、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス値偽装の疑いが浮上した。意図的に排ガスのカタログ値を良くしたのである。

 では、意図的でなければ実走行で燃費が悪く、排ガスが多くても許されるのだろうか。まじめにカタログ燃費と実燃費の乖離について考えなければならないだろう。

 実燃費と乖離したカタログ燃費はウソかというと、ウソではない。日本では国交省が定めた計測方法に則って測った値なので、決してウソではない。だからといって実燃費との乖離は良いことではない。

 燃費が良いというのは、走る距離に対して消費する燃料(ガソリン、軽油)が少ないことを指す。使う燃料が少ないと、燃えた燃料も少ないから当然、排出される排ガスも二酸化炭素(CO2)も少ない。カタログ燃費よりも実燃費が悪いというのは、同じ距離を走ったときにより多くの排ガスとCO2が空気中にばらまかれているということである。大気汚染にも地球温暖化にもよくない。

 パリもロンドンもミラノも、ヨーロッパの主要都市の大気汚染がひどい。PM2.5は北京よりも多い日もあり、パリその他の都市では大気汚染が悪化すると、ナンバープレートの数字の末尾が奇数、偶数で市街地への流入制限を行っている。こうした都市では、カタログ燃費だけを、あるいはカタログ上の排ガス値だけを規制していては、大気汚染を防げないだろう。

 もちろん日本でも事情は同じで、環境省の2011年の発表では、PM2.5の基準を達成したのは沿道に設置される数ある自動車排出ガス測定局の中で29.4%であった。他の70.6%の測定局では基準を満たさなかった。カタログ燃費の測定方法を実際の走行に即したものに近づけることが早急に求められる。

 そこでWLTC(worldwide harmonized light duty driving test cycle)と呼ばれる世界共通の測定方法が論議されている。しかし、各国で異なるさまざまな走行パターンを代表させるまでになるには、数多くの問題をクリアする必要がありそうだ。
 
 WLTCは、現在の日本のJC08という測定走行モードよりも厳しくなりそうである。そうなると、現在の日本のカタログ燃費は軒並み悪くなるだろう。最近の日本車の燃費向上は、JC08という測定モードのマジックによるものだといえないわけではない。

加速が燃費を悪化させる


 実燃費とカタログ燃費の乖離の原因は、エアコンの使用・不使用などがあるが、なかでも加速の仕方が大きく燃費を左右する。