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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

スポーツ選手は早死にする?「~の人は~の病気に罹りやすい」はナンセンスである

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「主な死因別にみた死亡率の年次推移」(厚生労働省HPより)
 今日は常識君と極論君は「北の湖さん」のことで盛り上がっています。極論君は、極論君らしく「スポーツ選手は早死にだ」と言い放っています。一方、常識君は「運動は健康にいいに決まっている」という主張です。北の湖さんは昭和の大横綱で憎らしいほど強かったですね。でも、大腸癌には勝てなかったということでしょうか。


 まず、「癌」は悪性腫瘍の通称である「がん」の一部です。上皮性の「がん」を「癌」といいます。

 それを踏まえて、推定値として2013年に生まれる方は約103万人、死亡する方は約127万人です。そして日本国内でがんに罹っている方は約98万人(15年予測)、がんでなくなる方は約37万人(同)くらいです。年間死亡数では心疾患が約20万人、肺炎12万人強、脳血管障害12万人弱と続きます。正確な数字は厚生労働省のHPを見てください。

 つまり死亡する方の約40%はがんが原因です。1981年にそれまで30年間、死亡原因の第1位であった脳血管障害を抜いてがんは1位になり、その後30年以上にわたってずっと1位を独占しています。現在では2位の心疾患と倍ぐらいの開きがありますので、これからもがんが死因の第1位を占めることは疑う余地がありません。男女を分けないでみると、がんの中で死亡数が多いのは肺がんで約8万人、そして大腸がんと胃がんが約5万人と続きます。

 直腸がんの危険因子としては、肉食、肥満、飲酒、喫煙などがあげられます。危険因子とは、がんになる確率が増加する要因ということです。確かに北の湖さんは現役を引退しても結構立派な体をしていました。健康的な肥満か、不健康な肥満かはわかりませんが、あえて挙げればそんな可能性も考えられます。

 一流スポーツ選手はある意味有名人ですので、亡くなるとニュースになります。ですから、多くの方が早死にしているという印象を抱かれる原因にもなります。本当に運動が体に良いか、悪いかは実はわからないのです。

グループ分けは信用できない?


 トップアスリートをみていると、大会前などに過酷な調整を続けて、風邪を引いたり、また帯状疱疹になったりすることがあります。帯状疱疹は免疫力が弱まると発症する皮膚の病気で、昔感染した水ぼうそうが免疫力の低下をいいことに再び活動を始めて帯状疱疹を引き起こすのです。つまり、運動のやり過ぎは害にもなるのです。

 結局は一言でスポーツ選手といっても、いろいろなスポーツがあり、また現役と引退後では生活も異なり、そして直腸がんの発生には他の要素もいろいろと加味されます。ですから、常識君と極論君の会話では決して結論は出ないのです。