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MRJ、新規受注絶望的か 債務超過の恐れも この1年で受注ゼロ、現実離れした計画

文=編集部
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 社長は森本浩通氏。今年4月、4度目の初飛行の延期を受けて親会社の三菱重工が開発部隊のお目付け役として、執行役員の森本氏を送り込んだ。森本氏は三菱重工で火力発電プラントの海外営業が長く、航空機の経験はない。三菱航空機の社長に三菱重工の非航空部門の出身者が就くのは初めて。初飛行を成功させ、ANAへの初号機納入のスケジュールを守った上で、海外営業を強化していくのが使命だ。

 森本社長は「10月に飛ばす」と明言していたが、10月19~23日に予定していた初飛行は延期。11月になって、ようやく初飛行にこぎつけた。次の重要なステップは、17年4~6月に全日空に初号機を納入することである。

 これまでに全日空、トランス・ステイツ航空、スカイウエスト航空、イースタン航空、マンダレー航空、日本航空の6社から407機(確定223機)を受注しているが、昨年8月を最後に新たな受注はゼロ。欧州からは1機の受注もない。目標の1000機の受注にはほど遠い。今後20年間の需要予測(5000機)の半分のシェアを取ると目論んでいるが、はたしてうまくいくのか。初飛行の延期がこれまで5回もあり、航空会社が購入に慎重になっていることを示している。国内のエアラインの内訳は、全日空からは25機、日本航空は32機となっている。

 初号機の納入が再び延びるようなことがあれば、営業活動に支障が出る。三菱航空機はMRJの開発スケジュールが遅延したため、資金を食い潰してきた。15年3月期の決算公告によれば、当期純損失は177億円。資本金500億円、資本剰余金500億円に対して、利益剰余金は693億円の赤字となっている。売り上げが立つようにならなければ、資本金、資本剰余金は早晩、底をつく。債務超過への転落を避けるには、新たな増資が必要になろう。

ウイークポイント

 航空機、なかでも旅客機は成長産業だ。新興国を中心に輸送人員の増加が続くうえ、現存機(約2万機)の更新も必要になるからだ。今後20年間の新規需要は3万機以上、金額で50兆円規模になると推定されている。

 市場を二分するのは、米ボーイングと欧州エアバスだ。日本航空機開発協会の統計によると、14年のジェット機の受注機数はエアバスが1796機、ボーイングは1550機。納入機数はエアバスが629機、ボーイングが723機となっている。受注、納入ともに両社は過去最高を記録。いずれも8~9年分に相当する5000機以上の受注残を抱えている。

BusinessJournal編集部

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