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低所得層に現金を配る政策はそろそろやめるべき…「一億総活躍社会」という妄言

文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授
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最も必要な要素はイノベーション

 わが国に必要なことは、国全体でイノベーションを進めていくことだ。創造的破壊ともいわれるイノベーションは、決して難しいことではない。企業であれば技術やサービスの力を高め、グローバル市場での競争力をつけることに力を入れればよい。

 すでに、自動車の分野では燃料電池で動くトヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」を筆頭に、世界の技術をリードする製品が実用化されている。政府はこうした取り組みを支えるために、産学連携や知的財産の保護、規制の緩和、そして競争意識を喚起する市場開放を進めればよいだろう。

 幸いなことに、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の大筋合意を受けて、わが国にはアジア太平洋地域へのアクセスチャネルが整備されつつある。新興国を中心にわが国のインフラ技術への需要は堅調だ。TPPの合意はアジア太平洋の市場開放を進め、一大市場での競争が進みやすくなると考えたほうがよい。競争原理が創意工夫を高め、効率性の上昇につながる。競争なくしてさらなる成長は期待しづらい。わが国の技術力を大いに生かすべく、この機を逃してはならない。それが真の意味での成長戦略になるはずだ。

 以上、わが国はより長い視点で経済基盤の強化を考えるべきである。政府が景気の低迷に影響されすぎることなく、中長期的な視点での競争力の強化、イノベーションの発揮に注力することを期待したい。
(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)

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