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町田徹「見たくない日本的現実」

食品の消費税率、先進国中で最も高い…偽りの軽減税率、まったく「軽減」ではない

文=町田徹/経済ジャーナリスト
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 意地をみせようとしたのだろう。協議の大詰めで、谷垣氏は1兆3000億円の財源が必要になる「外食を含む飲食品」まで対象を広げる案を持ち出し、協議を混乱に陥れた。しかし、そんな財源を用意することはできず、公明党の要求を丸呑みする導入案がまとまった。

 とはいえ、この導入案には問題が多い。ファストフードのテイクアウトなどを軽減税率の対象となる加工食品とみなすか、対象外の外食とみなすかといった線引きが決着していないからだ。安定的な財源の確保は大きな課題だし、4年もの間インボイスなしで脱税の横行を防げるかも疑問視されている。逆に、インボイスを導入して年間売上高1000万円以下の事業者に認められている消費税の納税義務免除(益税)を廃止すれば、年間5000億円程度の税収を確保できるとの試算もあるが、現状では絵に描いた餅状態である。

食品に先進国一高い税金

 そもそも、軽減税率という名称も首をかしげたくなる。なぜなら、今回の話は消費税の標準税率を10%に上げるのに際して一部の食品の税率を据え置くというもので、何も新たに軽減するというものではないからだ。正確さにこだわれば、「据え置き税率」とでも称すべき話であり、軽減税率では羊頭狗肉といわれかねない。

 両党が導入案をまとめる過程では議論の俎上に上がらなかったが、以前にも本コラム(10月28日付『消費税軽減税率、「骨抜き」の公算 国民負担軽減は限定的、一部企業の「益税」放置か』)で書いたように、次回の増税分の2%しか軽減税率で軽減しないとしたことは、とても容認できない議論でもある。

 G7諸国と比較すると、食品の税率はドイツ7%、フランス5.5%、イタリア4%、英国、米国(ニューヨーク市)、カナダ(オンタリオ州)各0%に対して、日本は8%と最高水準になる。人間が生きていくのに不可欠な食品に先進国一高い税金を課すような国づくりを、日本国民は求めているだろうか。

 消費税は所得の多い人に高い税率を適用する累進性のある所得税と違い、対象の商品が同じならば所得水準に関係なく同じ税率を適用するため、低所得者に厳しい税金である。軽減税率を誰もが必ず負担せざるを得ない品目に幅広く適用することは、この累進性に逆行する消費税の構造的な欠陥を補う効果がある。それゆえ、食品に加えて、電気、ガス、水道、医薬品なども軽減税率の適用対象にすることが必要なのだ。

 そのための財源は、例えば消費税の標準税率を引き上げて賄うことが可能である。政府、連立与党には、もっと現実的かつ血の通った消費税のあり方を検討してもらいたい。一刻も早く仕切り直しが必要だ。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)

町田徹/経済ジャーナリスト

町田徹/経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
1960年大阪生まれ。
神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業。日本経済新聞社に入社。
米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。
雑誌編集者を経て独立。
2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。
2019年~ 吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員
町田徹 公式サイト

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