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垣田達哉「もうダマされない」

豪華なルームサービスに消費税軽減税率? 法的根拠も正当性もない線引き横行で大混乱 

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
豪華なルームサービスに消費税軽減税率? 法的根拠も正当性もない線引き横行で大混乱 の画像1ショッピングセンター内のフードコート(「Wikipedia」より/Shinjiman)

 消費税軽減税率の線引き案が固まったようだ。それを見るとさまざまな疑問点が浮かび上がる。法律であり税金の問題であるだけに、辻褄が合うように詳細に決めなければ、事業者や消費者が混乱するだけでなく、税金逃れが頻発することになる。一つひとつ検証してみよう。ちなみに本稿では、政府の公式発表がなされていない段階のため、各種報道で伝えられている情報をもとに検証していく。

「その場」とは、どこまでを指すのか

 外食の定義を「テーブルや椅子など、その場で飲食をさせるための設備を設置している場所での食事の提供」とするというが、「その場」とはいったいどこまでの範囲なのか。その範囲の目安となるのが、ホテルのルームサービスである。ホテル内のレストランで食べれば外食だが、ルームサービスは非外食になるという。

 では、宿泊施設で宿泊費と食事代が別の場合、たとえば、ビジネスホテルの朝食はどうなるのか。ホテル内のレストランではなく、自動販売機が設置してあるスペースに並べてあるテーブルや椅子に朝食を運んでもらうのは外食か非外食なのか。隣の喫茶店から運ばれた食事をロビーで食べるとどうなるのか。さらに、旅館で食事を部屋で食べれば非外食で、食堂や大広間まで行くと外食になるのか。

豪華なルームサービスに消費税軽減税率? 法的根拠も正当性もない線引き横行で大混乱 の画像2『一冊で分かる!食品表示』(垣田達哉/商業界)

 そもそも、ホテルのルームサービスという贅沢な方法に軽減税率が適用され、部屋から出かけて行きレストランで食べるほうの税金が高いというのは、軽減税率の趣旨に反していないのか。

 ホテルという同じ施設であっても、厨房と同じフロアでなければ、たとえば部屋など厨房と離れた場所で食べれば非外食になるのか。そうであれば、厨房が1階だとすると、2階に個室をつくりそこで食べれば非外食になる。

 ショッピングセンターのテナントからフードコートに出前を注文すれば、非外食になるのだろうか。フードコートにある飲食店に料理を取りに行かないで、テーブルまで運んでもらえば非外食になるのだろうか。

「調理を伴わないものが出前や出張サービス」として非外食に当たるというが、厨房からどのくらい離れたところに運べば該当するのか。同じ施設内であっても出前扱いにするのは、宿泊施設だけの例外にするのだろうか。

隣に運ぶのは出前なのか

 宿泊施設以外の飲食店では、どこからが出前になるのだろう。中華料理店の2階に運ぶのは出前にならないのなら、隣の建屋ならどうなのか。1階が中華料理店で、2階が麻雀荘の場合、2階へ運ぶのはどうなのか。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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