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垣田達哉「もうダマされない」

豪華なルームサービスに消費税軽減税率? 法的根拠も正当性もない線引き横行で大混乱 

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表

同じイートインでも税率違う?

「テーブルや椅子があること」と「持ち帰り容器」を線引きの基準にしようとしているが、どこで食べようが、持ち帰り容器に入ってさえいれば非外食になるのか。イートインで食べる場合でかつ持ち帰り容器であれば非外食になるのか、はっきりしない。
 
 もしも、イートインだけということになると、イートインの定義を法律で決めなければならない。飲食店が1社のみだとイートインで、数社が集まればフードコートということになれば、各飲食店ごとにテーブルを用意した場合は、イートインになるのか。仕切りさえあればいいのか、どんな仕切りならいいのか、厨房から客席まで仕切られていなければならないのか。

 たこ焼き店やアイスクリーム店やドーナツ店が、「うちはテーブルは用意していません」となるとどうなるのか。テーブルはショッピングセンター所有であって、飲食店のものではないとしたら、外食になるのか。

 なぜコンビニのイートインだけ特別扱いにするのか。コンビニは、食品衛生法の飲食店営業でも簡易型になっている。一方、同じイートインといわれるスーパーマーケットや百貨店は、コンビニのように簡易な調理ではないので一般飲食店営業許可を取得している。おそらく、それを根拠にコンビニのイートインでは「店内持ち帰り容器飲食を非外食」にしているのだろう。

 しかし、コンビニのイートインも、スーパーマーケットや一般の飲食店も店内で食べることに変わりはない。今回の線引きは、明らかにコンビニ優遇措置である。

 疑問が生じるケースは、もっといっぱい出てくるだろう。くどいようだが、この線引きは、法律であり税金の話である。近い将来、おそらく通常税率と軽減税率の差は広がっていくだろう。外食の消費税率が15%、非外食の食品が8%となれば、税金の差が2倍になる。

「あいまいないい加減な法律をつくってもらっては困る」「中小いじめの低所得者層いじめの線引きになっても困る」というのが、多くの国民の声ではないだろうか。できるだけわかりやすい線引きにしてもらいたいものだ。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

※拙著『一冊でわかる食品表示』(商業界)は、食品表示基準が定められている食品表示法の解説書です。軽減税率に関しては触れていませんが、食品関連事業者の方々には参考になると思います。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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