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山田洋次監督は新しい映画を撮っているーー『母と暮らせば』が奏でる、伝統と先進の“交響楽”

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【リアルサウンドより】

 公開初日、映画館がぎっしりと年配の観客で埋まる。近年の山田洋次監督作ではお馴染みの光景だ。この時代、観客を呼べ支持される映画監督というのは稀だ。それは、庶民の生活や家族の問題をユーモラスに、ときにシリアスに描き、観客を魅了してきた巨匠が積み上げた信頼の証である。しかし、個人的に不満に思うのは、若い世代の観客が少ないということだ。そう思うのは、日本映画において、いま最も新しい映画を撮っているのが山田洋次監督だからである。

 『男はつらいよ』シリーズの国民的監督として、大衆娯楽作を撮り続けた明快なスタイルと職人的技術はそのままに、とくに『藤沢周平 三部作』以降は、躊躇なく尖った作家性を発揮し、日本映画を代表する名画である、市川崑監督の『おとうと』、小津安二郎監督の『東京物語』のトリビュート作品を手がけ、さらに、正面から戦争を捉えた『母べえ』、『小さいおうち』では、今まで隠れていた政治性までも前面にさらけ出し、悲痛な絶叫のような情念が炸裂する。

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