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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

マックにさらなる試練か スタバ成功の仕掛け人、「中価格」高級バーガーで大人気

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員

 このシェイクシャックが支持されている大きな理由のひとつは、高品質なハンバーガーを手の届きやすい価格で提供していることにある。パティはアンガスビーフ100%で、ホルモン剤などを一切使用せず、健康的に飼育されたものを厳選している。それにもかかわらず、ハンバーガーの価格は先ほどのモスクラシックなどのグルメバーガーの価格(1,000円~)と、マクドナルドなどの一般的なハンバーガーの中間程度の700円前後で提供している。

 ただし、このシェイクシャックについては、このような店舗のブランド力や商品の魅力以外にも注目すべき点がある。それは、2020年までの日本における展開の独占契約をサザビーリーグが結んだことだ。

サザビーリーグがもくろむ、ハンバーガーのスタバ

 サザビーリーグといえば、「半歩先のライフスタイルを提案」することを企業理念とし、これまでスターバックスをはじめ、アニエスベーやロンハーマン、フライングタイガーコペンハーゲンなどさまざまなブランドを日本に導入することに成功してきた企業である。特に、今から20年前の95年に米国スターバックスとの合弁事業として設立したスターバックス コーヒー ジャパンは、この20年間で1,000店舗以上ととてつもない躍進を遂げた。

 当初、米国スターバックスはホテルマリオットグループと組んで成田に出店していたが、接客から商品まで米国流をそのまま展開したことで失敗し、ほどなく撤退した経緯がある。それを、当時サザビーリーグの取締役であった角田雄二氏が、米国スターバックスのハワード・シュルツCEO(最高経営責任者)に送った1通の手紙がきっかけとなり、米国スターバックスはサザビーリーグと組んで本格的な日本進出を展開することを決断した。

 その後、サザビーリーグはスターバックスを単なるコーヒー店ではなく、暮らしを彩るもの、豊かな文化をかたちづくる場所としてその価値を高めることに成功した。しかし、そのスターバックス コーヒー ジャパンは、2014年をもって米国スターバックスの完全子会社となり、サザビーリーグは保有株を完全に売却した。そのため、サザビーリーグとしても、スターバックスに代わる新たな魅力的なブランドをねらっており、そのひとつが今回のシェイクシャックということだ。

 このシェイクシャックは、本格的なメニューをカジュアルなスタイルで提供していることから、もともと「ハンバーガー界のスターバックス」と一部で呼ばれており、日本においては奇しくも、そのスターバックスを手掛けた同じサザビーリーグが関わることでビジネス的成功が期待できる。高付加価値を進めるモスバーガーに加えてシェイクシャックが参入しバーガー戦争が勃発したことで、マクドナルドにとっては今後さらなる試練が続きそうだ。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員)

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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