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雨宮寛二「新・IT革命」

アマゾン、ついに通販の最終的理想形サービスを開始…1時間以内配送を本格化

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サイト「アマゾン」より
 2015年12月28日付本連載記事『アマゾン、「言う」「ボタンを押す」だけで買い物完了…革命的装置発売で極限までラクに』で、アマゾンが小売りバリューチェーンの上流で、新たなガジェットを開発してオムニチャネル戦略を進めていることを紹介した。


 だが、アマゾンのオムニチャネル戦略はこれだけにとどまるものでない。商品を「受け取る」というバリューチェーンの下流(バックエンド)では、近年「配送」と「受け渡し」の両面から同戦略を着々と進め、競合との差別化を図っている。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 今やアマゾンといえば、Amazon Prime Now(プライム・ナウ)に代表されるように、即日配達から即時配達へと転換を遂げ、配送のスペシャリストとして戦略的サプライチェーンを構築した流通の雄である。

 最短で1時間以内に商品を届けるこのサービスは、アマゾンの陸路での流通網の最終形態としてインターネット通販の高速化を実現した。商品の注文から受け取りまでの時間を1時間以内で完了させる超高速サービスは、まさに顧客がストレスを感じずにシームレスに配送プロセスを把握できるオムニチャネルを実現したものである。それはもはや顧客の購買行動において理想に近いネット通販の在り方といっても過言ではないだろう。

 配送場所(都内8区)や配送時間(午前6時から深夜1時まで)などを限定してスタートしたこのサービスは、その後徐々にエリアが拡大され、配送場所などが拡大されつつある。アマゾンはこうした制約を解消する企業努力を怠らないため、将来的には日本全国でユニバーサルサービスの実現が図られる可能性もある。

 配送面での即時化を進める一方で、アマゾンは注文商品の受け渡しの面でもチャネルの拡大に余念がない。Amazon Locker(アマゾン・ロッカー)もそのひとつである。これは配達日時の指定ができない米国において、自宅不在者の需要を取り込んで始まった商品受け取りサービスである。

 このサービスを使えば、顧客は24時間営業のコンビニエンスストアやドラックストア、食料品店などに設置されたロッカーで、注文した商品を受け取ることが可能となる。ちょうど、日本のコンビニで展開されている商品受け取りサービスに近いコンセプトである。

 米国では日本のように配達日時の指定が一般的にできないため、自宅に終日居ることのできない人にとっては不在時の受け取りが大きな悩みであった。アマゾン・ロッカーは、まさにこうした顧客の悩みを一気に解消してくれるソリューションであった。

 このようにアマゾンは、バックエンドにおける商品の受け渡しの面でもチャネルを拡大することにより、顧客の便益を高めつつある。すでに効率的な流通ネットワークを構築しつつある同社にとって、さらなるチャネルの拡大は、オムニチャネルの戦略性をますます高めるものとなろう。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)