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大野智「医療・健康情報のウソ」

「~は食べてはいけない!」との煽りは不適切…添加物等での健康被害は起きていない

文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授
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 確かに、「普段食べていた食品が実は危険だった」ともなれば不安になります。そして、身近な人に教えたり、雑談で話題にしたりといった格好のネタにもなります。

 食品でよく標的にされるものとしては、添加物や残留農薬などがあります。先日は、加工肉も話題になりました。

 ただ、具体的な数字を示さず、「危険! 危険! 危険!」と繰り返しているだけの記事の場合は、その内容を吟味する必要があります。決して、そのような記事を非難しているわけでも、アクセス数が多いから妬んでいるわけでもありません。自虐ネタで申し訳ありませんが、筆者のようなどっち付かずの内容の記事は、もともとあまり読まれないという自覚は十分に持っています。

食中毒のリスクには要注意

 食品で健康に影響を与えるようなリスクでいえば、食中毒のほうが圧倒的に発生確率が高いです。

 一方で、筆者の知る限り日本国内で流通している食品で、メディアでよく目の敵にされている食品添加物による健康被害が起きたという事例は、ここ数年起きていません。仮に起きていたとしても、食中毒より件数は少ないはずです。過去には「ヒ素ミルク事件」(1955年)などが起きましたが、これらの事例を契機に食品添加物行政への改革が行われ、現在は厳密な安全性評価に基づき、必要に応じて仕様基準が定められています。

 つまり、健康への影響を考えると、添加物や残留農薬よりも食中毒のほうが圧倒的にリスクは高いのです。

 また、健康のことを考えれば、暴飲暴食も危険です。年末年始、飲み会の機会も多かったと思いますが、アルコールも健康を損なうリスク因子です。日本人の場合、塩分のとりすぎにも注意が必要ですが、当たり前すぎるのか、「暴飲暴食は危険」「アルコールに注意」「塩分は控えめに」などといった記事が注目されることはほとんどありません。

 個人的な希望になりますが、もし、リスクを伝える記事を書くのであれば、「具体的なリスクの程度(数値)はどれくらいなのか」「どのような条件を満たせば、安全だと認めることができるのか」ということも併せて記載してもらえると、より有益な情報になるのではないかと思います。
(文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授)

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大阪大学大学院医学系研究科 統合医療学寄付講座 寄付講座准教授

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